残されたもの#5 ページ30
『ッ………う、そ……』
相「それでもお前は夢から逃げるか？
ヒーローの道を捨てるか？
誰が何を言おうと結局はお前自身が決めることだ。今すぐ決められないのなら謹慎期間の1週間で決めろ。
自分で決めたんだろ。背負う業ってやつを」
『……は、い……ッ…！』
目一杯絞り出した声は薄く掠れていたが、先生にはしっかり届いたようだ。
溢れそうな感情をレモンティーで流し込む。
淹れ方を間違えただろうか。
やけに鼻につく、苦いレモンの匂いが胸に残った。
肉体の滅びた今でも、きっとこれからも
あなたは私の光だ。
・
感情が高ぶったお陰で声が普通に出せるまで時間がかかってしまった。
その間、相澤先生は私の淹れたレモンティーをゆっくり飲みながら、窓の向こうを眺めていた。あの日は姿を見せなかった月が細々と光を反射している。
『…すいません、取り乱しました。じゃあ、相澤先生は最初から全部知ってたんですか？』
相「まぁ、半信半疑だったがな。お前が本当にヒーロー科に編入するって決まった時は流石に驚いた。
まぁ、この話はこれくらいにしよう。次の話だ。雄英の方針について…
お前プリント見たか？」
『プリント……？』
相「はぁ…まぁいい。雄英はこれから全寮制に移行する。この家庭訪問は本来その承諾を得るためのものだ。
さっき1週間考える猶予をやると言ったが、お前、とりあえず今からこっち来い。」
『ん？？』
相「ろくに飯食ってないだろ。ヒーロー云々以前に人として身体が持たん。それに、ちゃんと寝てないな。
校長も心配されていた。一旦こっちに来い。他のやつよらより一足早く寮生活だ」
『え…いいんですか』
相「何度も言わせるな。分かったら早く荷物纏めろ」
・
新しくできた寮はさながらホテルのようだった。簡易的な説明を受けただけでも充実した設備があるとわかる。
食堂には1人分の食事が用意されていた。
私がそこの椅子に座ると、相澤先生は少し離れた所に腰を下ろし、パソコンを開いて仕事を始めた。
無愛想ながら、誰よりも生徒思い。
その優しさが心に沁みて、滲んだ。
温かい味噌汁の味がひどく舌に馴染んだ。
『………美味しい』
仕事の手を止め、安心したようにこちらを見る先生に私が気づくことはなかった。
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ピポ助(プロフ) - 今後新たな作品を書くつもりがありましたら、頑張ってください！！ お気に入りの作者に追加しておくので！書いてくださったらすぐ飛んでいきます！！！ (2019年7月31日 20時) (
レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - コメ失礼します！！ めっちゃ！感動！！しました！！！！！ お母さんの話がこの作品の山場？だと思いますが最後の誕生日会もちゃんとA組みんなが関わっていて素晴らしいと思いました！！ 書ききれないんで上に続きます！ (2019年7月31日 20時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
いくと(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！感動していただけましたか！そう言っていただけると作者としては本当に嬉しいです！この先も全力で泣かせにかかりますので何卒箱ティッシュのご用意を( (更新頑張ります！！ (2018年6月21日 18時) (レス) id: 12992f1ebb (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ(プロフ) - 夢主と夢主のお母さんの話、凄い感動しました！涙が止まりません(泣)これから夢主がどうなるのか…続きが気になって仕方ないです！これからも更新頑張って下さい！ (2018年6月21日 0時) (レス) id: 6c368ece55 (このIDを非表示/違反報告)
いくと(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！！私も今電車内で涙目です(コメントいただけた喜び)拙い文章ではありますが、期待に応えられるよう頑張ります！ (2018年6月16日 7時) (レス) id: 12992f1ebb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：[いくと] | 作成日時：2018年5月20日 10時
