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こうやって、騎士団以外の人と話すのは珍しいかもしれない。だからか、意外にも楽しく落ち着いた時間を過ごせたように思える。
「私、この近くに住んでるんですけど……生まれつき、あまり身体が強くなくて昼間の人が多い時間帯には海に来れないんです。だから、いつも海を一人で見つめているだけだったんですけど……へへっ、こうやってハクさんとお話出来て、すごく楽しかったです。
……あの、明日も、もし良ければ話し相手になってくれませんか?」
『嗚呼、俺で良けりゃ、ラクエにいる間はいつでもなるよ。いつも一人で居るのは、寂しいもんな』
「……!有難う御座います……。ハクさんって、すごく優しいですね」
『あはは、これくらい優しいの内にも入んないよ』
という事で、残りの数日もここに来る事になりそうだ。そろそろ戻ろうか、と俺が立ち上がるのと同時に、「はい、また明日」とクリスちゃんが微笑んだ。
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翌日も、その次もあの場所に行っていたのだが、どうやらこのひっつき虫はそれがお気に召さないようで。
「ヤダ、ハクが居ないとつまんないー……。ハクが足りなくてしんどい」
『んな事言われてもなー……。つーか昼間とかは普通にいるだろ……』
三日経ったその日、風呂上がりのラックが濡れた髪のまま抱きついて離れない。せめて髪は乾かせと言って、ソファに座らせてドライヤーをかけ終えた瞬間これだ。俺まだ風呂入ってないんだから一回離れろっと言っても、
「……ヤダ、ハクまたいなくなるでしょ」
『あー……』
この通り、意地でも阻止しようとしてくる。これが力強い上に可愛いから俺が勝てる要素が無い。マグナ溜息ついてないで助けろや。バネッサさんは酒が入って「いーじゃなぁい、ここ最近ハクが相手してくれないーってずぅ〜っと言ってるんだから」とケラケラと笑っている。
……ごめんクリスちゃん、多分今日は行けねーや。心の中で謝罪し、落ち込み気味のラックの頭を撫でる。
『分かったって、今日は行かないから。ほら』
「ホント?」
ぱっと笑顔を浮かべるラックにホントホントと返事をして頬を撫でる。さっきまでの態度どうしたと言いたくなるくらい嬉しそうにするもんだから、可愛いからいっか、とか思ってしまった。マジでごめんよクリスちゃん。明日はなんかお菓子でも持ってくわ。
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お久しぶりです……!ようやく色々落ち着いたんで更新できた……!
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作者名:白璢 | 作成日時:2022年1月1日 20時