. ページ38
.
目をきゅっと瞑って、そっと唇に触れる。本当に少し触れるだけのキス。それでも、みんなの前でするのは顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
これでいいかな……と思い、そっと瞼を開く。と、目の前のラックはしっかりバッチリ目を開けていた。……は、顔見られてた。
『……なんで目ェ瞑ってないんだよ……！』
｢え〜、ハクの顔見てたかったんだもん｣
『駄目……！､はずい』
｢可愛いよ？いーじゃん｣
『そういう問題じゃない……！』
必死になって見るなと騒ぐが、それがまた逆効果だった。｢へーえ？｣と笑ったラックは、つぅ……と俺の首の裏と、腰の辺りをなぞって。
｢ハクのもっと恥ずかしいトコ、いっぱい見てるのに？｣
『……〜〜っ、！』
ぞわり、耳元で小さく囁かれ、身体の奥の方に変な何かが走った。一気に真っ赤になった俺に、楽しそうに笑みを浮かべるラック。
『馬鹿……ッ、このやろ』
｢その馬鹿に気持ち良くされてるのだぁれ？｣
『……､マジで、今日どしたの……いじわる』
｢さーね？あはは、かーわいい｣
手の甲で顔を必死に隠して、斜め下の方を向く。目なんて絶対に合わせられなかった。
これまたずっとニヤニヤと俺の方を見て髪の毛やら首やらを触ってくる。恥ずかしいったらありゃしない。
と、それを見ていたバネッサさんは、同じくニヤニヤとした表情で、
｢アンタ達、随分堂々とイチャイチャしてくれるじゃ〜ない。ほら、ユノ君なんて真っ赤になってるじゃないの｣
｢……なってないです｣
『………〜っ！』
ユノ君の顔が視界に入って、また苦しいくらいに身体が熱くなる。多分今、耳まで赤くなってる。
それとは対照的に、ラックは赤面する俺の顔をくいっと自分の方に向けて、｢余所見しちゃダメ｣と言って今度はラックから口付けられた。
流石に人前だから舌を入れてくる事は無かったが、唇の辺りを軽くなぞられた。
｢仲いーでしょ、ボク達｣
｢………｣
何してくれてんだラック、抱き寄せられたと思ったら今度はユノ君の方にそう笑いかけていたのだ。胸元に顔を埋めさせられていたからユノ君の表情は見えなかったが、いきなりこんなの見せられて良い顔してる訳が無い。
バネッサさんもマグナも笑いこらえてないで助けて、マジで。俺にどうしろと言うんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白璢 | 作成日時：2022年1月1日 20時
