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吹き荒れる風を氷の盾で防ぎ、こちらも氷柱をいくつも飛ばす。
霰や雹は風の前では敵わない。重さと鋭さが無ければ、いや、風で返すべきか。
｢はァ！｣
『ちっ……、容赦ねーな！』
風の剣をこちらも氷のナイフで相打ちさせる。と、共に襲い来る竜巻は咄嗟に作った防御魔法で防ぐ。手元に氷剣を作り、踏み込む。が、振るった剣は空を斬っただけで、ユノ君の見には一歩届かない。
宙に浮いて刃を避けた後、そのまま三日月型の風をいくつも此方に飛ばしてくる。避け、凍らせ、防ぐ。が、身は押されている。と、そこにがら空きの背に向けて柱をいくつもぶつける。
｢！、……ッ｣
『目の前以外にも、集中』
普段ならば、この程度の不意打ちどうって事ないだろう。だが、相手が悪かった。俺の魔力は、人間にはほぼ感知する事が出来ない。それは、発動した魔法だって同じだ。
しかしまあ、ここで建て直してくるのがユノ君なのだ。どうやら咄嗟にガードしていたらしい。思ったよりもダメージが少ない。が、気持ち的に追い込む事は出来ている。優勢な事に変わりは無い。
暴風、乱氷、風を纏う鷹に氷雪の風をぶつけ、かき消す。が、すぐさま羽を取り戻したソレは、鋭い瞳で此方を見ている。が、風であろうと関係ない。その空間を凍らせ、魔を捩じ伏せる。
氷の嵐で視界を遮り、剣を構え直す。吹き飛ばす風は、今の俺には少し遅く、隙を作ってくれていた。
『俺の勝ち……で良いかな？』
｢……！｣
喉元に、きらりと光る氷の剣。パラりと数本の黒い髪が地に落ちた。
｢……っは、凄いですね……ハクさん｣
『ありがと。まあ、結構危なかったけど』
ユノ君の言葉に、剣を下ろして消す。顔には、笑みが浮かんでいた。
強かった。自分の魔力が感知されていたらきっと負けていた。それほどに、攻撃の威力も正確さも目を見張るモノだった。
『ほんとに凄かったなぁ……｡前見た時よりも威力上がってたし、頑張ってるんだな』
｢……っ、本当ですか｣
『嗚呼、ユノ君の頑張り、よく伝わってきたよ』
にっと笑って褒めれば、ユノ君も少し表示を緩ませていた。と、思うと、今度は。
｢……、
ハクさん、前みたいに、頭撫でて貰えませんか……？｣
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作者名：白璢 | 作成日時：2022年1月1日 20時
