夢と静寂． ページ5
“××年××月××日”
“リヴァイさんから貰ったこの手帳に、長くはない私の余生を書き綴るとしようか。”
『…灯りが欲しいなぁ』
本来ならばリヴァイさんしかいない筈の部屋であるから、彼の不在時には灯りが点かない。
私の存在を隠す為に、カーテンすら開けないでいるこの薄暗いリヴァイさんの部屋。
『リヴァイさん…早く戻ってこないかな』
私は独りで、あなただけを待つ。
“１日目の今日、天気はやはり梅雨。”
“夕方になれども梅雨は梅雨で、鬱陶しかった筈だったのに、今となっては羨ましい。”
『もう、外には出れない…のかな？』
“この鍵は肌身離さず持つが、リヴァイさんに見られて困ることは書かない方がいいだろう。”
“リヴァイさんはキス魔だということが判明。”
遠くから眺めていただけの頃のリヴァイさんとは、随分と違う誰かのように思えた。
“そんなリヴァイさんを知っているのは、私だけであればいい。”
“そして……”
『…こんな私を知るのは、リヴァイさんだけがいい』
書きかけた文字を、二重線で消した。
こんな想いごと線を引けたなら、いくらか楽になることができたのでしょうか……？
“それでも…あなたが好きなようです。”
『……ん、眠くなってきた…な』
“明日は、どんなあなたが見られるでしょうか。”
あぁ…本当に眠気に襲われ始めた。
もう少しくらい我慢できそうだけれど、幹部組の会議はまだまだ終わらないだろう。
『ごめんなさい…リヴァイさん』
“おやすみなさい。”
次の一文だけを記したら、とりあえず鍵をして隠してから、目を瞑ってみよう。
“あなたのことを想いながら、先に眠ることにしますが…待っています。”
『……リヴァイさんの、せい、です』
浅い眠りはただの寝不足だ。
あなたの隣でなんて…昨晩は緊張してしまって、上手く寝つくこともできなかった。
『×××…××……』
リヴァイさんがいないことに安堵して見た夢の中で、大好きな幼馴染みと出会えた。
21時を過ぎた頃、静かに開いた扉の音が、私の寝息に混ざって閉まった。
ラッキーアイテム
朝焼け
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作者名：氷飴 | 作成日時：2018年3月8日 0時
