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街. ページ18






「お姉さんも一部いかがです?」


『え…?』








雨上がり綺麗な日。

街中で知らない少年と出会い、私はつい足を留めた。




「はいっ!どうぞ」




少しだけ湿気た新聞を渡される。

ぽかんとする私に「お金はとりませんから」なんて笑った。




『でも…配達のお仕事でしょ?』


「ふふっ。お姉さん綺麗だから」


『ど…どうも…?』




…とはいえ、それはやはり申し訳ない。

お金を出そうとする私に気づき、少年は慌てて背を向ける。




「本当にいいですから!
じゃあ僕まだ配達があるのでっ」


『あっちょっと…っ!』


「それ読んで夜道とか気をつけてねー!」


『あのっ…!』





配達員の少年は走り去っていった。


買い物帰りの私は立ち尽くし、この街の住人も私を通り過ぎていく。




『…行っちゃった』








―貰った新聞を開いてみた。


本日の記事は…

今から2週間程前に、トロスト区の病院から医薬品が持ち出された事件とか。


貴族が迷子になった愛猫を探してるとか、もし見つけたら多額のお礼があるとか。

探すくらいなら目を離さなければいいのに…。



そうこう思うも目を通している時―…




『…あれ?』




端の方に小さく載った“人探し”の記事に目が止まった。



そこには、

“黒髪で目つきの悪い、小柄な男性”とだけ。



人相書きも名前もない。

どこの誰が探しているかも、それ以外の情報なんてなんにも――…

人探しにしてはあまりにも杜撰(ずさん)な曖昧な記事。






『…もしかして、これ……』


「君、その人に心当たりでも?」


『っ…!』




気づけば隣には若い駐屯兵がいて、記事を見る私のことを凝視していた。

驚き、つい言葉に詰まってしまう。




『いえっ…!なにも…』


「黒い髪で小柄な男くらい、いくらでもいるだろ」


「!!」




途端そんな低い声が響き、私の腕が強く引かれた。

―そうしたのは、上着のフードを深くまで被ったリヴァイさん。




『っ…あの、リ……』


「遅ぇぞA!いつまで待たせる気だ」


『! ごっ、ごめんなさい…っ』


「チッ…来い」


『あっ!ちょ、待っ…』




突然のことに驚く駐屯兵をよそに、リヴァイさんはそのままずるずると私を引っ張っていく。





「…??えっと…」





駐屯兵はぽかんと私達を見ていた。





.→←さよなら、またいつか.


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設定タグ:進撃の巨人 , リヴァイ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:氷飴 | 作成日時:2018年3月8日 0時

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