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さんじゅうご ページ36

伊「すぐ離れろ!」


私たちが下に降りると、班長が声を荒げて周辺の人たちを非難させていた。


『ヒロくん、もう下ろしてくれて大丈夫だよ、ありがとう』


ずっと背負ってもらっているのが申し訳なくて、ヒロくんにそう言う。


諸「大丈夫だよ、気にしないで」

『ほんとに大丈夫!痛みも治まってきたし、』


明るい声で言うと、ヒロくんは少し心配そうにしながらもゆっくりと私を下ろした。


『ありがとね、』

諸「ちゃんと病院行ってよ?」

『うん、わかってる』


周りの人たちの避難が済んで、班長とゼロがこちらを振り向く。


降「僕たちも離れよう!」

伊「A!歩けるか!」

『うん!』

諸「…行こう」


今も一人で爆弾を解体しているであろう陣平を見上げ、歩き出す。


『…っ』


ビルから離れている途中、足がズキっと痛んで思わず顔をしかめる。

もしかしたらこれ、ヒビ入ってるかも…。


諸「…」

降「…」


私の異変に気付いたゼロとヒロくんが、黙って肩を貸してくれた。


『…ごめん、』

降「ふっ、こういう時はなんて言うか、学校で教わらなかったのか?」

『…ありがとう、』


ヒロくんは笑って、私の肩を強く抱いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


松「あっぶねぇ…」


タイマー残り2秒で爆弾の解体を終え、俺はほっと息をついた。

Aは怒ると怖いんだぜ、とひとりほほ笑んだとき、


ビーーーー!!!


松「!?」


止まったはずのタイマーが、動き出した。


松「遠隔か!クソッ!」


押し出されるふたつの液体を目の前に、俺は必死に頭を動かす。

咄嗟に頭に浮かんだのは、


松「こんなときハギなら…あいつなら何を…!」


(「じんぺーちゃん!電話!」)

(「ハギくーん!どうしたのー?」)


松「…!」


俺は噛んでいたガムを取り出し、ゆっくりと管の結合部に押し込んだ。




松「ふぅ〜〜…」


今度こそ俺は、深い息をついた。


松「さっすがに肝冷えたぜ…」


いつかの風景が浮かんできて、咄嗟に真似したら、うまくいったぜ。

今頃結婚式場にいるであろうハギを思い浮かべて、ふっと笑う。


松「ハギ、ありがとな」


ゆっくりと階段を降りると、4人の仲間たちが俺を待っていた。

諸伏と降谷に支えられるAの顔が、歪んだ。

俺は彼女の目から雫がこぼれ落ちる前に彼らに近づく。


パン、


俺たち5人の手が、軽快な音を立てて合わさった。

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蕎麦(プロフ) - あいなさん» コメントありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです🥹これからも楽しんでいただけたら幸いです✨️ (11月2日 22時) (レス) id: 6e4712d906 (このIDを非表示/違反報告)
あいな - とても良かったです!陣平ちゃんが好きなのでニヤニヤしました! (10月28日 18時) (レス) id: 1d08598e39 (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦(プロフ) - 梨央さん» ありがとうございます〜!これからもぜひ楽しく読んでいただけたら嬉しいです! (10月28日 15時) (レス) id: 27ce214f54 (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - いつも楽しく見させてもらっています! とても続きが気になります(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク いつでも更新待ってます!頑張ってください! (10月26日 23時) (レス) id: d5d12d933e (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦(プロフ) - 魔王さん» 読んでいただいてありがとうございます!これからも更新していきますのでぜひ楽しんでください! (10月26日 22時) (レス) id: 27ce214f54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蕎麦 | 作成日時:2022年12月15日 21時

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