さんじゅうに ページ33
『はぁ、はぁ…』
息を切らしながら、やっとのことで階段を上りきる。
屋上に出ると、拳銃を構えてあたりを見渡すゼロの姿が。
『ゼロ！』
降「！」
私を見つけて一瞬驚いた表情を見せたゼロは、すぐに表情を引き締めた。
降「なんで来たんだ！」
『ゼロひとりじゃ危ないと思って！』
ゼロと背中合わせになって私も拳銃を構える。
『…奴は』
降「…わからない、気配がしないんだ」
『…』
後ろ向きのままゆっくりと後ずさりをする。
トン、とゼロの背中が触れたとき、右手の方でパン！という音がした。
『！？』
思わず一瞬そちらに視線をやったとき、視界の隅にペストマスクが映ったのがわかった。
『しまった！』
注意がそれたことを悔やみながら反射的に視線を戻すと、奴がこちらに向かって何かを投げた。
『手榴弾！！！』
どうする、どうする…！
くっと奥歯を嚙み締めて頭をフル回転させた私は、右手で手榴弾を掴み、左手でゼロを突き飛ばした。
降「！？」
『くっ！』
できるだけ遠くに手榴弾を放り投げて、頭を守る体勢を取る。
パァァァン！！！
一瞬で光に包まれ、ゼロと一緒に全身が強く打ち付けられたのがわかった。
降「…A、」
『…っ』
遠くでゼロの声が聞こえるけれど、体が動いてくれない。
痛い、全身が痛い。
降「A、！」
ぼやける視界の中で、奴が私に向けて拳銃を構える姿が見える。
『ゼ、ロ、』
まずい、私が撃たれたら…。
目だけを動かしてゼロを探すと、私からだいぶ離れたところで倒れているのが見えた。
手榴弾の衝撃で吹き飛ばされた拳銃を手探りで探すゼロを視界にとらえながら、私は奴を見上げた。
『っ！』
動け、動け、私の体、動け！
ダメだ…頭がぼんやりして…。
『じん、ぺ…』
奴の指が動くのを見て、私は思わず目を瞑った。
パン！！！
『っ！！』
…あ、れ、
いつまでたっても衝撃がやってこないのを不思議に思ってゆっくりと目を開ける。
『…あ、』
諸「っは、はぁ、はぁ…」
そこには拳銃を構えるヒロくんと、撃たれた肩を抑える奴がいた。
諸「ゼロ、A、無事か！」
『ヒ、ロ、』
諸「クソッ！」
ヒロくんが逃げて行った奴を追いかけて行く。
降「待てヒロ！奴は手負いだ。あとは応援にまかせよう」
諸「くっ…」
ヒロくんは悔しそうな表情を見せながらこちらを振り向いた。
諸「大丈夫か、ふたりとも」
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蕎麦(プロフ) - あいなさん» コメントありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです🥹これからも楽しんでいただけたら幸いです✨️ (11月2日 22時) (
レス) id: 6e4712d906 (このIDを非表示/違反報告)
あいな - とても良かったです！陣平ちゃんが好きなのでニヤニヤしました！ (10月28日 18時) (レス) id: 1d08598e39 (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦(プロフ) - 梨央さん» ありがとうございます〜！これからもぜひ楽しく読んでいただけたら嬉しいです！ (10月28日 15時) (レス) id: 27ce214f54 (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - いつも楽しく見させてもらっています！ とても続きが気になります(っ ॑꒳ ॑c)ﾜｸﾜｸ いつでも更新待ってます！頑張ってください！ (10月26日 23時) (レス) id: d5d12d933e (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦(プロフ) - 魔王さん» 読んでいただいてありがとうございます！これからも更新していきますのでぜひ楽しんでください！ (10月26日 22時) (レス) id: 27ce214f54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蕎麦 | 作成日時：2022年12月15日 21時
