ハロウィンの花嫁【名探偵コナン】

いち ページ2

松「ふあぁ〜…」


緊張感のある雰囲気の中、私の隣で呑気に欠伸をする男がひとり。


『ちょっと陣平』


小声で彼をつつくと、「ああ？」とこちらに視線を向けてくる。


『ああ？じゃないでしょ、こんなときに欠伸しないでよ！』

松「仕方ねえだろ出ちまうんだから」

『もう…』


こそこそと会話をする私たちの前には、蘭ちゃんに園子ちゃん、少年探偵団のみんな、それに毛利さん。

高木くんと美和子の結婚式と聞いてやってきたみんなには申し訳ないけど、私たち捜査一課は村中夫妻の結婚式に向けた訓練を行っている。


伊「おいお二人さん、こんな時までいちゃつくなよ」

『班長！』


後ろから茶化してくるこの男も一緒。

でも、いくら訓練とはいえ…。


松「なんだ、高木のやつ、緊張してんのか」

『そりゃするわよ！』

伊「ガチガチだな笑」


タキシードでビシッと決めた高木くんは、緊張した面持ちで美和子を待っている。


光「いつかこんな日が来るとは思ってましたけど…」

歩「ついにやったね！高木刑事！」

元「でもよ、えらい急に決まったよなあ」

灰「うんうん」


コナンくんも首をかしげている。

ごめんよ、みんな…これは訓練なんだよ…！



そのとき。

ゆっくりと扉が開いて、ウェディングドレスを着た美和子の姿が。


歩「わぁ〜…！」

光「佐藤刑事とってもきれいです…！」

『わぁ…』


すごく綺麗で、歩美ちゃんたちに続いて、思わず私も声をあげてしまった。


松「…」


なんだか隣から視線を感じる。


『なに？陣平』

松「いや…」


何やら言いたそうな顔をしてそっぽを向く陣平。


伊「くくっ」


班長は何やら笑いを押し殺している。


松「…おまえもあーいうの、憧れんのか？」

『え？うーん、そりゃあ、まあ…』

蘭「ウェディングドレスは女性の憧れですもんね！」

園「松田刑事も負けてらんないわね〜」

松「ああ？うるせえ！」

『ちょ、陣平声でか…』

歩「え、松田刑事たちも結婚するの？」

光「じゃあ次はお二人の結婚式ですね！」

灰「…あら」

『えぇ…』


ちょ、待って！流れがおかしい！

そして絶対に哀ちゃんは面白がってる！

可愛いから許すけど！

伊達班長もニタニタと楽しそうに笑っている。


伊「だとよ、松田」

松「…るせえ」

伊「まあ、おまえらの結婚式なら、あいつらも来るしかねえしな」

『！』


もう長いこと会っていない2人の友人の顔が浮かんで、胸がきゅっと締め付けられるような気がした。

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