ストロベリーホーム【Ryosuke.Y】 (ページ7)

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涼介くんは
私を見て慌てて自分のハンカチを取り出し、

私の指を優しくそれで包んだ。

散らばった
絆創膏や消毒で、
次々黙々と手当をしてくれて。

少しだけ染みる痛みも、

涼介くんの顔を見れた安心感で、
怖くなかった。

ただ、
目の前の光景が酷く幸せで。

A「………おかえり…」

涼介「……………バカ」

ただの指の怪我を
涼介くんはまるで宝石を扱うように優しくしてくれて。

………こんなに、大事にしてもらっててもいいの？

紫耀の事を今、
大事にしてくれる人はいないのかな……

涼介くんが私の手を握る、
その姿をずっと、見ていた。

涼介「……なんかあったの？」

分かりきったような目と口ぶりで、
私を見た。

大好きだから、大好きだから嘘をつきたくなかった。

A「……………

紫耀ちゃんの事置いて、
私だけ幸せになっても、いいのかな……」

口にしてしまったその言葉に、
涼介くんは目を見開いていた。

A「……涼介くんが好きだけど…

私、こんなに…

好きでいてもいいのかなあ……？」

指の絆創膏を見て
ため息に近い笑い声を出して言った。

矛盾、してる。

こんなのただの同情だ。

分かってる。

それでも私の気持ちは今、
紫耀の気持ちを考えるとぐちゃぐちゃになりそうだった。

涼介「………きっとアイツも、Aの幸せを1番に願ってるよ。

俺が見た限り、
気に入らねえけどアイツはAのこと本気で大切に思ってる。

俺にはわかる」

涼介くんの腕が肩に回ってきて、

ぎゅっと、抱きしめられた。

涼介「……本当はAのこと好きな奴なんて、

俺だけでいいと思ってるし、
誰にも譲るつもりなんてさらっさらないから、ね？」

背中をトントンと
優しく叩くその温もりに、目を閉じた。

涼介「………けど、

気持ちは痛いほどわかるから………

アイツのためにも、
俺はAを思う存分愛するから」

涼介くんは、

『お願いだから自分を大切にして』

と、最後に耳元でか弱くそう呟いた。