ストロベリーホーム【Ryosuke.Y】 (ページ40)

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涼介「…………A…」

はっと驚いて振り返った
女の人は、

涼介くんのTシャツをまるで
我が物顔で着ていた。

この前とは
雰囲気が違うけれど多分、

あのコンビニで会った人だとわかった。

…………私の涼介くん。

そう思っていた。

けど違う。

2人の目に映っている私はきっと。

二人の間の『邪魔者』の他見当たらない。

涼介「……っA待って、違う！」

溢れそうな涙をぐっと堪えて、

玄関に走った時だった。

カバンを引っ張られ、
振り返らされたのは。

A「……涼介くん、

私と距離をおこうと思ったのは、
あの人が好きだから……？」

涼介「……違う！」

A「違わないよ！

だって今私見たんだから」

涼介「……Aが好きだよ…」

A「何番目に……っ？」

涼介くんの背中越し、

私達を心配そうに見るあの人を、
悲しくて見れなかった。

大好きな貴方の事も、直視出来なかった。

あまりにも困った顔をした
彼の顔を見ると
かもう何が本当なのか分からなかった。

A「……私の心配してくれた時も、

私の事好きだって言ってくれた時も全部

心の中には私じゃない人がいたの？」

何も言い返してこない涼介くんの肩を、

情けない弱い力で押した。

涼介「……Aが好きだって気持ちも、

心配してることも嘘じゃない！」

A「………………けど、

きっと私の方が涼介君のこと、好きじゃん…」

ついに溢れた涙が
玄関のマットを濡らした。

ザーザーとやまない雨は
私の涙を覆うように強く、強く降った。

A「……私は、

私だけを見てくれてた涼介くんが好きだった……」

カバンで繋がれた涼介くんの腕を、
右手で優しく戻した。

A「………もういいよ。

バイバイ」

踵を返して、
玄関のドアを閉めた。

やっぱり私に恋愛なんて、無理だったんだ。