ストロベリーホーム【Ryosuke.Y】 (ページ27)

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私が言おうとしていたことは
見事紫耀の口から放たれた。

紫耀「なんか……
やっぱ悔しくてさ。

ついあんなこと言っちまった。ごめん

お前が山田のこと、
すっごい好きだってわかってんのに俺、

ほんとに子供だよな。ごめん」

手のいき場所がなくなって、
私は咄嗟に冷蔵庫に手をかけて開いた。

A「…………私もごめんね」

紫耀「なにが、」

A「ほっぺ」

紫耀「ああ……

確かにAは人に手を上げたりしないから正直驚いた。

でもそれくらい、
あいつのこと悪く言われるの嫌だったんだなあ……て。

そんくらい怒ってたんだなあって

そのくらい山田のこと、愛してるんだなあ……なんて」

不意に紫耀に目をやると、
お肉を丁寧に切っている途中だった。

あー、もう。

なんだか歯がゆい。

私が言いたかったのは、
そういう意味じゃないよ……

A「……私は紫耀ちゃんのことを言われてもきっと怒ってた。

だから……涼介くんには紫耀ちゃんのことは悪く言わないでって言ってる。

私は涼介くんに限らず、
大切な人を悪く言われるのは許せないんだ…」

好きなのは涼介くんだけど。

と付け足すと、
紫耀はぽかんと口を開けて私を見た。

予想外の反応で、
ん？と聞くと、

紫耀「……そういうとこ、変わってねえな笑」

どういうとこ？と
もう一度聞くと、

『んー』と考え込んで笑った。

紫耀「友達すくねえのに、

その友達ひとりひとりのこと、
馬鹿みたいに大事にしてるとこ」

『嫌いな奴とかいねえじゃん』

と、もう一度手を動かし始めた紫耀。

…………確かに、滅多に人のことを嫌いになったりはしないけど。

A「…………優子ちゃんは嫌いだったよ」

優子ちゃんだけは、
許せなかったし、見逃せなかった壁。

恐る恐るその名前を出したけど。

その言葉に紫耀は一度手を止めたけど、

何も言葉は発さずに、

まるでその事はなかったかのように
ずっと私を見なかった。