山田くんはこっちを向かない。 (ページ46)

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次の日、
学校に着いても山田くんとは、

話すことが出来なかった。

ああやって言ってしまったのは私の方。

全部私がした事なんだから、

後悔なんてしてない。

そんなの、したって戻れない。

…………戻りたくない。

隣の席でスヤスヤ眠る山田くんを見て、そう思った。

圭人「…あの、Aちゃん」

A「………」

圭人「おーい…」

A「………」

圭人「Aちゃん！！」

A「うわっ、

……なに？」

ぼーっとしていた私を大声で呼んだ圭人くんは
『なにじゃないよ～』と呆れていた。

圭人「次移動。一緒に行こう」

A「え、でも……」

隣に視線を送った。

その時、むくっと体を起こした山田くんは
『保健室』とひとこと言って、

だるそうに立ち上がって私の後ろを通り教室から出ていった。

………ああもう、
なんで喧嘩みたいになってるんだろう。

そもそも、悪いのは私じゃなくて山田くんだもん。
………先輩と私が話してるのを見て機嫌が悪いなんて、

私だって馬鹿じゃないんだから、
そうなのかなって勘違いしちゃうもん。

A「…行こっか」

圭人「あの、さAちゃん」

いつの間にか教室には私たち二人だけになっていて、圭人くんは周りを気にしながら気まずそうに言った。

圭人「……山ちゃんは、Aちゃんの事が嫌いなんじゃなくてさ、

…きっと、どう接していいのかわかんないんだよ」

どう接してって……
それは、私も戸惑っている。

圭人「もう、言っちゃうけど……

大ちゃんとAちゃんが仲良くなるのを気に入らないのは、
Aちゃんが遊ばれてるんじゃないか心配してるからだよ」

A「……え？」

圭人「Aちゃんに腹を立ててるわけじゃないよ。
心配してて、大切だと思ってるからこそ、

それを伝えるのが苦手っていうか

……要するに、

全部Aちゃんを思っての行動ってこと」

山田くんが本当にそんな風に思ってくれてるの？

A「………なにそれ…」

心が、また潰される。