山田くんはこっちを向かない。

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『キョドるんなら見ないでもらえる？』









うっわ………




やっちまった。








そりゃ、目合ってオドオドされたら
誰だって嫌………だよね。








せっかく、
ショートホームルームで起きている
せっかくの、せっかくの貴重な時間だし。









大体、私みたいな
the・群れ女がなにをでしゃばって…









恥ずかしくて、
熱い顔を見られないように下を向いて
横に向いていた顔も前へと立て直した。









ってあれ？


やっぱりまってよ。









私、何かおかしなことしたの？









私、山田くんにおはようって言いたかっただけだよ……ね？





孤立した山田くんが、
少しでも皆と接しやすいかなって。







山田くんと仲良くなりたかっただけなのに。









なんだか、
よくわからない感情が私の中でふつふつと上がってきた。









私は拳を握りしめて、
もう一度横を向いた。









A「…おはよう」





涼介「……はあ？」





A「おはようって、言われたら…




おはようって返すんだよ、山田くん」









私、間違ってないじゃない。









なんだかこの時、
本当の私になれた気がした。









群れるんじゃなくて、
自分の言いたいことをハッキリ言う、









そんな私になれた気がした。









涼介「……お前、頭大丈夫か？」

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