─ ページ24
.
｢A！！｣
『…大毅、』
大学の駐車場で待っていた私を
大毅は車から飛び降りて抱き締める。
｢どうした、急に迎えに来てなんて言うから、｣
『…帰ろ、大毅。』
すれ違った会話に大毅は不安そうに頷き、
車に乗り込んだ。
『…神山くん、前、私に告白してきたの』
｢…もしかして、あの帰り遅かった日…？｣
『うん、』
あの時の神山くんはおかしくて、怖かった話。
でも、彼氏がいると言えば諦めてくれた話。
次にあったときは普通に戻っていた話。
大毅はゆっくり、ゆっくり進む私の話に
静かに相槌を打つ。
｢…そっか、それで、今日は…？｣
『…大毅、』
駐車場から動かずに停めたままの車の中。
話し声以外の音が遠くで聞こえてシンとしていた。
『…ねぇ、大毅っ、』
ボロボロと大粒の涙がシートにこぼれ落ちた。
大毅は私にティッシュを数枚渡して、
優しく背中を摩ってくれる。
.
『…海、行こう』
.
私達は、本当の幸福を、手に入れた。
永遠の幸福の筈だった。
もしも、私達が何か間違っていたのなら、
それはきっと、
この世に産まれてくる選択をした事だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんのちゃん(プロフ) - 毎回思うんですけど檸檬さん本当にすごすぎませんか…。伏線の張り方上手すぎます… (2020年8月14日 12時) (
レス) id: 50eb508331 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - 檸檬さん» そうですね、丁寧さがすごく伝わってきて良い作品です。新しい作品！ほんとですか！楽しみにしてます！ (2020年5月4日 10時) (レス) id: 8bbaf315cc (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - 未来さん» コメントお寄せ頂き有難う御座います。一文ずつ丁寧に書いた甲斐が有りました。近日、新しい作品も書き始める予定ですので、是非御楽しみにして頂けると嬉しいです。 (2020年5月4日 3時) (レス) id: 35918720d3 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - うわー、話が深い...！文才尊敬です...！ (2020年5月3日 1時) (レス) id: 8bbaf315cc (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - 鞠亜さん» 有難う御座います。話の構成を複雑にしてしまい、理解して頂けるか不安でしたが、そのお言葉を頂けて本当に良かったです。安心致しました。是非他の作品でのコメントもお待ちしております。 (2020年5月1日 23時) (レス) id: 35918720d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：檸檬 | 作成日時：2020年4月5日 7時
