向 日 葵 の 咲 く 頃 。《 赤 》 ページ1
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「うー…寒っ…」
この声…、そっか。
もう1年も経ったんだ。
「お、いたいた。…A。ごめんな?全然来れんくてさ。」
『ふふ、やっぱり大毅だ。久しぶり。元気にしてた?』
久々に見た彼の顔は、寒さで赤くなってた。
『あっ、それってもしかして…』
「あぁそうそう、これ、向日葵。こんな時期やからさぁ、めっちゃ探し回ったわ。」
綺麗やろ?と、花びらを触る大毅。
『本当に嬉しい。ありがとう大毅』
「お前がさ?向日葵が好きって言ってたから、意地でも持ってこなと思って。」
そう言って大毅は鼻を掻く。
これは照れたときの癖だって、知ってるの。
でも何かを思い出したかのように
大毅は俯いて、どこか悲しい表情を浮かべた。
『どうしたの…』
「ごめんな…約束、…したのに」
『え…?』
大毅は今にも涙が零れ落ちそうな目をしている。
「夏になったら向日葵畑行こうかって、約束してたのにさ。俺実はさ、お前喜ばそとか思ってレストランとかめっちゃ調べて、」
『そうやったんだ…ごめん、ね。私のせいで…
私が、…死んじゃったから。』
大毅の頬を一筋の雫が伝った。
「あっ、ごめんこんな暗い話。嫌やんな、せっかく会いに来たのに」
涙を拭って、また歯を見せて笑うから、
とてつもなくそれが切ない。
『別にいいんだよ』
「よしっ、次は1本じゃなくて花束にして持ってくるから。待っとけよ〜?」
帰る支度を始めた彼。
そうだよね、忙しいから。
だから精一杯元気に見送らないと。
『うん!ありが』
「やっぱ返事ないの寂しいな」
「ま、Aのことやから俺に聞こえんだけで返事してたりして?ははっ、想像できるわー!」
よいしょ、と荷物を持ち上げて、
向こうへ歩き出した大毅。
「じゃあなA!また来るから!!」
こっちに向かって手を振る大毅に
答えるように目一杯、手を広げるけど、
『……だい』
涙目で背中を向けて歩き出した彼。
『待ってるよ……待ってる!待ってるから!!!!』
強い風が吹いて、彼が振り返る。
その目にもう、
私が映ることは無かった。
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作者名:檸檬 | 作成日時:2020年5月31日 0時