貴方の隣で。《紫》 (ページ8)

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教授とゲームを始めて数日が経った。

特に進展は無く、

ただ、人をよく見る様になっただけ。

退屈だと思いつつ、目立たず、

ひっそりした生活は、

まさに私が望んでいたもので。

『教授、失礼します。』

そして私は毎日準備室へ通う。

｢はい、どうぞ｣

コーヒーテーブルには、

私専用のマグカップと砂糖。

『教授、例の殺傷事件についてお話しませんか』

｢そう言えばキチンと話していなかったね。｣

『私は、あの事件が何の目的で行われたのかを知りたいのです。猟奇殺人だと言われていますが、いや、私も最初はそう思っていました。』

｢では、今は違うんだね？｣

『はい。犯人は、何か目的を持ってあの様な現場を創り出したんだと思うんです。考えれば、考えるほど。』

12月25日、クリスマスの夜、

この大学から遠く離れた

都内のアパートの一室で事件は起こった。

アパートに住む同棲中のカップルは

まさに幸せ絶頂で、

婚約も済んでいたという。

通報したのは被害者の女性。

犯人に襲われたものの、

一命を取りとめた。

彼女の旦那になる予定だった男性は死亡。

女性は鬱病を患い、

事件の事を思い出しては

パニックを起こすという。

そして、その事件現場は、

何故か真っ白の布が

リビングの一面に敷き詰められ、

その真ん中で男性は息絶えており、

男性の周りはその白い布を

赤く赤く染め上げる血液が

広がっていたという。

まるで、芸術作品のようだ、と。

壁にまで飛び散った血液は、

現在は既に清掃されており、

現場の写真は一般に公開される事等

勿論無くて、

再現やCGでニュースからは流れてくる。

『私は事件の現場を見てみたかった。聞いただけでも鳥肌が立ちます。犯人が女性を生かしたのは、きっと生かされる方が辛いからでしょう。』

｢まるで君は犯人と同じ考えをしている様だね。｣

教授は優しい声でそう言った。

『やはり、私は普通の女の子にはなれないのでしょうか。』

教授はマグカップを起き、

自分の足元をじっと見詰める。

｢君がそうなりたいのなら、

なれるはずだよ。

本当に、なりたいのなら、ね。｣

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