貴方の隣で。《紫》 (ページ36)

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■ ページ36

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｢おもろいゲームっすか｣

『ええ。ターゲットをひとり決めて、その周りで事件を起こす。
僕はターゲットが犯人を探す様に仕向ける。消して直接的なヒントは与えない。
3回の事件でターゲットが君に辿り着けば僕の勝ち。4回目の事件を起こした時点で君の勝ちです。』

重岡くんは俯きながら

ニタニタと笑みを浮かべて聞いていた。

｢でも、ターゲットって？｣

『丁度、目を付けている人が居るんですよ。』

近頃、熱心に僕の話を聞きに来る生徒がいる。

名前は確かAさん。

僕と頭の構造が同じ人間で、

もしも重岡くんが犯人だとバレたとしても

彼女は寧ろ面白がると分かっている。

つまり重岡くんは今回のゲームに負けても、

警察にバレること無く

今後も別のゲームが出来るという事。

そこまで説明し終えると、

重岡くんはキラキラした笑顔で

こちらを見ていた。

｢実はAとは共通の友達がおるんっす。だから近付きやすいし、何となく教授に似てますもんね、彼女。｣

『では、ゲーム開始という事でいいですか？』

｢はい。やっぱ教授に賭けて良かったっすわ～！｣

大きく伸びをしながら

わくわくしている様子の重岡くん。

『重岡くんは、Aさんの目に止まるような形で事件を起こしてください。』

｢教授はどんなんやったら目引きます？Aと同じ頭なんやったら教授に聞くのが1番っすよね。｣

僕は過去の興奮した事件を思い浮かべながら

現場のイメージを組み立てる。

『例えば、白い布が敷き詰められた空間の真ん中で、真っ赤な血を広げながら息絶えていたら、僕はその美しさに興奮してしまいますね。』

｢へー。じゃあそれにしますわ。｣

あまり内容には興味が無い様で、

恐らく彼は、人を騙す事に

快感を覚えているらしい。

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