貴方の隣で。《紫》 (ページ2)

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｢A、隣いい？｣

『あ、うん。』

｢ありがとう。｣

食堂の長いテーブル。

私の隣に腰掛けたのは神山くん。

落ち着いた喋り方で

性別問わず友人も多く、

何より頭が良い。

｢あ、しげ、おーい｣

神山くんが手を振る先には

汗をかいて首からタオルを掛けた

重岡くんが居た。

｢おー神ちゃん。A、俺もええ？｣

『うん。また走ってたの』

｢そやねん、やっぱ俺動いてないと死ぬタイプ、何やっけアレやアレ、あのー、タイ！｣

｢マグロな｣

｢そうそうマグロ！｣

二人は幼馴染らしく、

家も近くてよく遊んでいるらしい。

本当に仲が良いのが私にも伝わってくる。

『頂きます。』

｢頂きます｣

｢いただきまぁ～すっ｣

神山くんは、頭が良いので

私が話したい事をスムーズに

受け取ってくれて、

議論や情報整理をしたい時に

喜んで受けてくれる為、

自分に利益があると判断している。

重岡くんは、まるで私とは真逆の人間で、

私が影を歩く人間だとすれば、

彼は陽の光を浴び続ける人間だ。

最初は神山くんが連れてきた友人、

だったけど、

私は普通になる為の研究材料として

利益があると最近判断した。

｢なぁ二人ともさぁ、課題終わった？｣

｢終わったよ、しげは？｣

『その聞き方をするという事は、してないんでしょ』

｢してない、って言い方に悪意があるわ。してるよ？してるけど終わらんねんってぇ｣

｢ゲームばっかりしてるからやろ｣

｢神ちゃんに言われたくないわ｣

『神山くんはゲームはするけど課題も終わらせてるからね』

｢それ言われたら何にも言えんわ…｣

少し腹が立ったのか、

重岡くんはガツガツとカレーを

口に放り込んだ。

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