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第3話 ページ4

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「で?」

出水は登校して来たばかりのAにずんずんと大股で近寄り、ガタン、と前の空席に座った。多分あと少しでこの席のやつも登校してくるが、今は気にしないことにする。

突然「で?」と言われた張本人は、訝しげにこちらを見た。


『え、何?』
「おまえなんでまだ三門にいるわけ」
『なんで?いちゃだめなの?』


そういう問題じゃねえ、と言いたいのを堪えてひとつため息をついた。


「わざわざ太刀川さんの家出ていったからてっきりどっか行くのかなって思ってたわ………というか絶対みんな思ってただろ太刀川さんの家出ていく意味なかったじゃん」


太刀川さんの家、というワードに分かりやすく反応したAは唇を噛んで、目を伏せた。思わずため息をつく。出水はAが本当は太刀川さんの家を出ていきたくなかったんだなと悟る。


「おーい聞いてんの?」
『聞いてるよ…………まあ、太刀川さんの家出てったのは私のけじめだから』

だって、ボーダーやめて太刀川さんの家に居座るなんてそんなの都合良すぎるでしょ。


固い声でAは呟いた。


そもそも出水はなんでAがボーダーをやめるという結論に至ったのか知らなかった。
ほとんど誰も知らないらしいし、そこを掘り下げようとするやつは誰もいなかった。


迅さんといざこざがあったからそれが原因だろうなとも思うが、どういう考えでボーダーを辞めるという結論に至るのか、出水は聞いても理解ができないだろうと思ったから訊く意味もないなあ、と思っていた。

ただ、三門にいるままなのに太刀川さんの家を出ていったのも謎だし、それを止めなかった太刀川さんも謎で、それだけは気になった。

それなのになんだ、都合良すぎるって。どうせ誰にも迷惑かからないわけで、むしろ太刀川さんはAがいた方が人間らしい生活を送ることができるから一石二鳥だと言うのに。


「一人暮らしの家賃大丈夫なの」
『私は出水と違ってお金そんなに無駄使いしないから貯金がたんまりありまーす』
「ほんと失礼だなお前」


結局、考えに考え抜いた結果でAにかけた言葉は、どうにも的外れになった。

なんで家賃の話を始めたのか自分でもよく分からないまま、ただただAの表情を見て、やっぱり生きずらそうだな、と思った。

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(プロフ) - 君の瞳に鉛弾さん» コメントありがとうございます!関係性はゆっくりゆっくり変わっていっているのでそこに気がついてもらえてとても嬉しいです。これからも遅めのペースにはなりますがしっかり更新していきたいと思うので、ぜひこれからもよろしくお願いします! (2021年7月1日 17時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
君の瞳に鉛弾 - もうただひたすらに三輪くんと主人公の関係性変化に至る過程が大好きすぎて…三輪くん長編で完結してる作品て全然無いので余計にこれからの展開が楽しみです。作者様の負担にならない程度の更新を気長に待ってます。 (2021年6月30日 23時) (レス) id: 04b80a02c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月28日 20時

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