１５* ページ15
*
「 …ごめん。オレは、結衣のことは好きになれへん。」
「 …そっか。」
フッ、と緊張の糸がプツンと音を立てて切れた様に、結衣の体から力が抜けていく。それと同時に涙がポロポロと溢れていく。
「 …ごめんね、ちょっと 」
目頭を抑えて、オレの横をパタパタと小走りで走り過ぎていく結衣。
なんで、オンナを振ったらオトコが悪いみたいになるんやろうな。
戻って、松浦ともっかいバスケをしよう。一心不乱になって、結衣の事も告白の事も忘れてしまおう。
そう思い立って、踵を返した瞬間だった。
「 あっ！ 」
短い悲鳴が聞こえると共に、一冊の文庫本が芝生の上に転がった。
「 誰かおるん？ 」
「 ……すいません、盗み聞きするつもりは……！ 」
体育館裏に一本、聳え立つ大木の裏からひょっこりと顔を覗かせた眼鏡っ娘。
確か、この子も同じクラス。
「 わかっとるって笑 」
「 …よかったぁ。私はてっきり怒られるものかと…。」
あんまりにもペコペコ頭を下げる姿が見え可愛らしくて、ついつい笑みが溢れる。あー、この子かわええ。
「 ここでなにやっとったん？ 」
「 読書です。教室だと何かと煩いので。ここだと静かに読めるんです。
この木の陰なんて特に。オススメです。」
ブックカバーもなにもかかっていない、小説を片手に嬉しそうに頬を緩める
彼女の姿が、やはりとても可愛らしく見える。
しかも、読んどる本が恋愛小説でもない、ミステリー小説。
眼鏡は度は入っていないのか、黒縁の素朴な眼鏡。
なんの特色もない様な、でもすごく透明感があるオンナだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 533人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
y3gunluv(プロフ) - 私も大好きな作品です(о´∀`о)更新楽しみにしてます☆ (2017年8月13日 12時) (
レス) id: 57312c59c3 (このIDを非表示/違反報告)
まきのこ(プロフ) - すごく胸が熱くなって、感動しました！泣いちゃいました！これからからも応援しています！頑張ってください！ (2017年7月14日 2時) (レス) id: 2e301af00f (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - hiromiさん» 中々、思うようには書けてないの笑。勿体無くなんてない！hiromiさんのコメントでどれだけ今後の作品制作の励みになったことか……！(//∇//) (2017年6月3日 23時) (レス) id: 1e5c4cc75a (このIDを非表示/違反報告)
hiromi(プロフ) - 最近忙しくてなかなか来れずにごめんね(*/ω＼*)私なんかのコメントで泣いちゃダメよー！勿体無いから( ´艸`)(笑)ジロちゃん、忍耐力無さ過ぎー♪でもそんなとこも好き(笑)(*/∀＼*) (2017年5月17日 8時) (レス) id: ebaa49336d (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - hiromiさん» わぁ！早速読んでくださってありがとうございます(≧∀≦)hiromiさんがコメントしてくださって、嬉しくて本当に泣いてしまいました笑！！ (2017年5月11日 22時) (レス) id: 1e5c4cc75a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レオナ
| 作成日時：2017年5月7日 23時
