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目を覚ますと一番最初に感じたのは匂い。薬独特の鼻の奥をツンと刺すような香りに混じって爽やかなシトラスの香り。




広臣「 あ、起きたわけ? 」




「 ……起きちゃダメでしたか。」




広臣「 そういう意味じゃねーわ。」





視線を注いでいたスマホから顔を上げ、
丸メガネをかけた登坂さんが目線に飛び込んできた。





「 … 仕事戻ります。」




薬の匂いが染み付いた布団から抜け出し、近くに置いてあった荷物を掴んで
楽屋に戻ろうとすると、ガッと登坂さんに手首を掴まれた。





「 ……離して。」




広臣「 俺、同情なんてしないよ。」





「 …は?」




いつもの艶っぽい目線じゃなくて、鋭く私のことを見つめる瞳が左右に揺れた。



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作者名:レオナ | 作成日時:2017年3月10日 7時

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