あまく、苦い。

優しい ページ32

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玲於 side






玲於「 あー、ちっくしょう。」





目の前でエレベーターの扉が閉まった数秒前。




ガンさんを見かけて、一生懸命追っかけたんだけど止む無く追い付かずに、虚しくエレベーターが行ってしまった。





階段、使うしかないかあ…





最近の運動不足で、駅から会社までの全力ダッシュに震える太腿。





情けねぇ…




両拳で、太腿をバシバシ叩いてから
エレベーターの真横にある階段から上に登っていく。





階段で、9階とか半殺しだろ…。





かと言って、途中でエレベーター止めたら、ガンさんに迷惑でしょ？





…頑張るしかねぇ。





新入社員、って可哀想だ。






おれは、いい先輩だったけど、
同期のやつとか、めっちゃ怖い先輩にめちゃくちゃしごかれてんのとかみたら、





おれ、幸せもんじゃね？って。





ガンさん、めっちゃ優しいから、
ミスした時だって、




あー、ここね。ムズイよね！おれもよく間違えてたよ！





ってさ、ニコニコしながら言ってくれんの。





おれの真向かいのデスクに座ってる、
おれの同期と先輩の高橋さんのペアとか、もうさいあくだよ。





同期が、おれと全く同じミスした時なんか、高橋さん、大激怒。





さすがに、これは同期も応えたらしく
次の日は病欠。




それに対して、高橋さんなんて、心配すらしないかんね。




おれ、高橋さんの担当じゃなくてよかったって心から思ったし。







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