幼なじみにいきなり求婚されたのですが。その2【竈門炭治郎】

80. 好きなので ページ35

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空いている時間を見つけては、３人の病室へ足を運んだ。
1ヶ月経っても、2人の意識は戻らなかった。









椅子に座ってうつらうつらとしている時、「おー。」と声が聞こえてきた。



「足繁く通うなぁ。」

『宇髄さん…。』



立ち上がろうとすると、「いいから。」と言って肩をグッと押された。



…宇髄さんはあの戦いの後、柱を引退した。
左目と左腕を失ったからだ。



「こいつら、まだ寝てんのか。」



コンッ、コンッと、人差し指の背で2人のおでこを叩いた。



しのぶちゃんによると、2人の状態は快方に向かっている。
でも、頭が覚めるか分からない…らしい。
明日か、明後日か、はたまた年単位か…。

このまま目が覚めなかったらどうしようと、得体の知れない不安に襲われている。



『いつまで、寝てるんですかね…。』

「そういうお前は寝てんのか？
目の下、クマできてんぞ。」



宇髄さんの大きな手が、私の頬を撫でる。
心配そうな彼の目が、私のことを捉えた。



『あまり寝てません…ね。
私が寝ている間に、何かあったらと思うと…。』

「…そうか。
健気だねぇ。」

『炭治郎のこと、好きなので。』



宇髄さんの目が大きく見開かれたかと思うと、口角がニィッと上がった。



「そうか、そうか！
じゃあ、なおさら早く起きてもらわねぇと困るな！」



宇髄さんの大きくて明るい声に、少し心が救われた気がした。







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