幼なじみが落とそうとしてくる。その2【五条悟】

78. バカ ページ34

.





〜♪♬♩



シーン…となっている時に、いきなりLINEの通知が鳴り響いた。
2人の意識は全部そちらに持っていかれる。



『見て、いい？』



遠慮がちに言うと、悟は大人しく放してくれた。
むっ…と眉間にシワを寄せていたのは、スルーしておこう。



リュックの中にスマホが入っているので、悟に背中を向ける形となる。
だから、バレないようにみぞおち辺りを押さえた。
さっきより幾分かマシにはなったけど……まだ痛い。




硝子4日、浴衣着よ!



硝子からのLINEだった。

浴衣…浴衣……去年買ったのがどこかにあるはず。
帰ったら探してみないと。



「4日って、祭りの日だよな？」



スマホを胸に押しつけて隠し、すごい勢いで振り向く。
悟が四つん這いになって、私の背後からスマホを覗き込んできていた。



『ちょっと…！』

「見えたんだよ、バーカ。
つーか、硝子と行くんだ。
行きたかったなー。」



悟の拗ね顔に、心臓がきゅっと掴まれた気がした。

その顔、ずるい。



『誘われたから……。』

「じゃあ、硝子より先に誘ってたら、俺と行ってくれてた？」



ずるい顔で私のことを見つめ、指先で私の髪をくるくると絡めとる。



痛い、痛い、痛い、痛い。



『さ、悟のバカ！』



子供みたいな捨て台詞を吐き、リュックを引っ掴んで、悟の部屋からダッシュで逃げた。
背後から「バカじゃねーよ。」と言っているのが聞こえた気がした。






.

79. 夏祭り当日→←77. 心拍数

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す