73. ほんとのこと ページ29
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「はっきり言うねー。」
『……悟のこと、好きじゃないから。
だから、キスなんてしない。』
平静さを装ったが、声は自分でも分かるほど上ずっていた。
悟とは、今の距離感が一番いい。
今以上、今以下にならないためには、このままがいいんだ。
「…俺のこと好きじゃないなら、何でそんな過剰に反応してんの?」
真理を、突かれた気がした。
好きじゃないなら、『何言ってんの。』と笑って流せばいい。
それなのに、何で…。
『っ…!』
息が止まるほどの驚きを感じたにも関わらず、声を上げるのをこらえた自分を褒めたい。
頭の中が空っぽになるというよりは、脳の中で目に見えぬ何かが炸裂し、言葉という言葉が散り散りになってしまったのを、必死にかき集めた。
この場にいるのが、息苦しい。
「帰んなよ。」
クルリと体の向きを変えた私に突き刺さるその言葉。
まるで足枷のように感じ、ズンッと体が重くなった。
悟の方を見ずに、震える唇を開いた。
『知らないし、分からないこと言わないでよ。』
「キス、どんな感じなのか気にならない?」
____私たちの関係が、壊れるんだよ。
その言葉がなぜか喉で引っかかってしまい、出てこない。
代わりに出てきたのは、『気にならないし、放して。』というひどく冷たい言葉。
「……本当にそう思うわけ?
ほんとのこと、知りたくない?」
ぽすん、と悟の頭が、私の肩に置かれる。
ふわりと香る彼の匂いに、ドキッとしてしまう。
その聞き方____…ずるい。
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眠民。 - 最高でしたー!!続編飛んでいきますね!! (12月3日 19時) (レス) @page47 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 棗さん» そうそう、激甘にはしたいと思ってるので(はぁと もっとギュンギュンさせちゃうーーー!!笑 (2021年3月29日 9時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 春田ぽこ@新垢さん» 天才だなんて/// うん、楽しみに待っててください\(^o^)/ (2021年3月29日 9時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - そよかさん» うふふふ(はぁと どんな展開になるかはお楽しみに(ぶちゅ (2021年3月29日 9時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - ぬまぬまさん» 密かじゃなくていいんですよ(はぁと (2021年3月29日 9時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2021年3月17日 21時