霞柱に転がされています【時透無一郎】

31.ぐるん ページ32

(いやぁ、器用だなぁ…。)



無一郎くんの手先の器用さに感心しながら、自分の髪型を眺めていた。



私がするより上手いのでは…？



「じゃあ、次は僕もしてほしいな。」



『全然いいよ。
はい、座って。』



私は立ち上がり、無一郎くんと場所を交代した。



彼は鏡台の前にちょこんと座り、嬉しそうな表情を…している気がした。



そして、櫛でとかし始めたのだが…。



(無一郎くん、怒るかもしれないけど…。
髪の毛長いのもあるし…。)



雑念がわいたのだが、その時に口角が上がってしまっていたようだ。



「…何？」



そこで我に返り、ハハッと苦笑いを浮かべて視線を逸らした。



『いや…。
無一郎くん髪の毛長いし、顔も中性的だからさ…なんか…女の子の髪の毛結っているみたいだなぁって…。』



ぐるん…と視界が回った。



目の前には天井と無一郎くんの顔があった。



彼の長い髪の毛が顔にかかり、くすぐったい。



(え…え…えぇぇ！？
押し倒されてる！？)

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