一途にも程がある その4【時透無一郎】

141.ウトウト ページ6

行きのバスはカナヲの隣、帰りのバスは無一郎の隣。
カナヲの隣がいいことを伝えたけど、無一郎が譲らなかった。



そんな無一郎は、私の隣でウトウトとしている。
さっきから何度も頭が下がっては上がり、下がっては上がりのくり返しだ。



『眠いの？』

「うーん…。
昨日、Aの寝顔見てから寝たから、あまり寝れてない…。」

『…最低。』



自分の寝顔は見れるわけないので、どんな顔していたか分からない。
半目かもしれないし、よだれを垂らしているかもしれない。
とにかく、あまり見られたくない…。



すると、私に寄りかかってきて、ぽてっと頭を肩に預けてきた。
「これで寝させて？」と目を閉じたままのおねだり。
あざと！！



『仕方ないなぁ…。
いいよ。』

「ありがと。
大好き。」



____バカ！



そう心の中で叫び、窓から外を眺めた。
高速道路から見える景色は小さい時から大好きで、アトラクションのように感じる。
でも今は、左腕と左肩がジンジンと熱くて、景色に集中できない。



……仲直りできてよかった。
やっぱり喧嘩はよくないし、意地を張るのもよくないって痛感した。
もっと素直にならないと。

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