163.マーキング ページ28
同窓会当日。
スニーカーをトントンと履いて、階段を下りている時、足をピタッと止めた。
『来なくていいって言ったのに…。』
階段の一番下に座っていたのは無一郎。
「駅まで送るから。」って言っていたのを断ったのに、やっぱり来ていた。
彼は私のことを見上げると、スッと立ち上がった。
「服もかわいいし、何なのほんと。
絶対、東雲以外にもぎゃあぎゃあ言われるよ。」
無一郎はブツブツと文句を言いながら、階段を上がってきた。
そして、私が立っている場所より一段下で立ち止まった。
『言われないって。』
「ううん、絶対に言われる。
だってかわいいもん。
たから…。」
私の髪を避け、顕になった首元にいきなりかぶりついた。
チクッとした痛みとくすぐったさが同時に遅い、『んっ…！』と声が出て、目をギュッと閉じた。
「うん、ちゃんとついたね。
俺のマーキング。」
私だって20歳の大人だ。
何をされたかすぐに理解できた。
満足そうに微笑む無一郎とは逆で、私は鯉みたいに口をパクパクさせながら首元を押さえた。
『犬！？』
「何そのツッコミ。
かわいいね。」
クスクス笑っている無一郎を無視し、カバンから小さな鏡を取り出し、すぐに首元を見た。
髪の毛で隠れていると分からないが、赤い印が…。
『最悪…！
見られたらどうするの！』
「見られるためにしてるんだけど？」
意地悪な笑顔を浮かべ、私の首筋をツーッと人差し指でなぞった。
ピクンッとなった私を見て、ますます口角が上がっている。
イラッ…
グイッと無一郎のことを押し除け、先々歩いていくと、後ろから「あ、待ってよー。」と聞こえてきた。
バカ、バカ、バカ無一郎！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モフ猫 - ごーじょーっていうのは多分、強情を張っているっていう意味じゃないですか？ (6月12日 17時) (
レス) @page23 id: f4a3fdd8a7 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - うわー海斗最低ですね。無一郎頑張って守って❗ (2023年5月8日 10時) (レス) @page40 id: 95d1cd5894 (このIDを非表示/違反報告)
無一郎 - ごーじょーって何ですか？ (2021年3月17日 16時) (レス) id: 2453d18e4c (このIDを非表示/違反報告)
むゆ(プロフ) - 朔夜さん» 私も食べた……笑 歯磨き粉って言ってる意味がわかった瞬間やった……。 (2020年8月10日 6時) (レス) id: 38565869ab (このIDを非表示/違反報告)
蝶夜月(プロフ) - 朔夜さん» お酒美味しいんですか……？なら私も飲んでみようかな← (2020年8月9日 20時) (レス) id: d2b0ff775b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔夜 | 作成日時：2020年8月1日 20時
