一途にも程がある その4【時透無一郎】

154.見透かされる ページ19

翌日。
今日は無一郎の部屋で映画鑑賞デートだ。
でも、無一郎の様子がおかしい。
いつもならくっついてくるのに、一切くっついてこないし、代わりにずっとクッションを抱いている。
しかも、話しかけてもこちらを見てくれない。
というか、返事も素っ気ない。



『無一郎？』

「なーに？」

『何か、機嫌悪くない？』

「そんなことないけど。」



言葉ではそう言ってくれているけど、節々に感じる冷たさ。
映画はハートウォーミングストーリーなのに、こっちはハートクーリングストーリーだよ。(え？)
こっちまで不機嫌になりそう。



「逆に聞くけど、俺に何か隠してない？」

『え？』



頭をフル回転させる。
この質問をするということは、私が言っていない何かを知っているということだ。
一番最初に思いついたのは、海斗とお茶をしたこと。
でも、知る術がないから違うだろう。



______あ…まさか…！！



『さっき、無一郎がコンビニに行っている間に、冷蔵庫のプリン勝手に食べたこと…？』

「え、食べたの？」



無一郎の反応からして、どうも違うかったみたいだ。
うわー、黙っておけばよかった…。



「全然食べていいし、そんなことわざわざ聞かないよ。
てか、かわいいから許すもん。
…他は？」

『他！？
……いや、ないけど…。』



すると、無一郎はスッと目を細め、クッションをソファーに放り投げ、近寄ってきた。
今日、初めて目が合ったけど、色々見透かされてそうで怖い。



「昨日、東雲と会ったよね？」



見透かされていた！！！

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