一途にも程がある その3【時透無一郎】

125.腹が立つ ページ35

【合コン】
合同コンパの略。
付き合う相手を探すために、男女それぞれのグループが合同で開くコンパ。



いやいや、頭の中で辞書引きしている場合じゃない。
合コン！？
今日の飲み会、合コンだったの！？



「へへ、大好き。」



トサッ…



いつの間にか、私の背中にはベッド、真上には無一郎がいた。
……これは非常にまずい。



「かわいい。
もっと色んな顔見たい。」



近付いてくる無一郎の綺麗な顔。
じゃあ、見せてあげる。
怒り顔ね…！



『ふっざけないで…！』



私の頭の下にあった枕を素早く手に取り、無一郎に思いきりぶつけた。
彼の体は吹っ飛び、私の隣に倒れた。
「痛い…。」とうつ伏せになったまま呟いたけど、知るかそんなもの！



『そんなあまーい言葉ばっかり言って、合コン行ってたことチャラにしようとしてる？
何で言ってくれなかったわけ？』

「飲みって言われて店に行ったら、女の子いたんだもん…。
俺が来ないと女の子たち来ないって言ったから、内緒で俺のこと誘ったみたいー。
怒ってる？」



倒れていた無一郎の復活の早さ。
うつ伏せのまま私の腰に手を回し、顔をこちらに向けた。
あざといのは慣れたけど、今は腹が立って仕方がない。



『いつの間にか合コンだったっていうのは分かった。
それは仕方ないのも分かった。
でも……。』

「でも？」

『それだけ酔っ払って帰ってきたってことは、楽しかったってことでしょ！
合コンの勢いで私に会いに来ないでくれる！？
め！い！わ！く！！』



私の大大大嫉妬だ。
あんな楽しそうに帰ってきた飲み会の中身が合コンだったなんて…。
しかも、その勢いで「会いたくて来ちゃった。」と来た。
もー、最低最悪！！
せめて、素面の時に言ってほしかった！！



私に怒られた無一郎は唖然としている。
振り返ると、今まで彼にここまで怒ったことなんてない。
それぐらい腹が立っている。
腹が立ちすぎて泣いてしまいそうだ。

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