一途にも程がある【時透無一郎】

44.綺麗 ページ45

パンケーキの店は行列ができていて、店の外まで人が並んでいる。
これが、SNSの影響力か…。



「名前書いてくるから、列に並んでで。」

『分かった。』



無一郎は店先に置かれている、順番待ち用の紙に名前を書きに行ってくれた。
私は彼に言われた通り、大人しく列に並んで待っていた。



「ねぇ、今の男の子、綺麗だったよね。」

「うん、イケメンというより綺麗。」



私の後ろに並んでいる2人組の女の人がこそこそと話し始めた。
誰と言われなくても、無一郎とすぐ分かる。
確かに、女の私から見ても羨ましいぐらい綺麗だ。
前世で徳を積みすぎたのでは？



「書いてきたよー。」

『ありがとう。』

「どういたしまして。」



無一郎が帰ってきたことにより、後ろの人たちはキャッキャッと言っている。
モテてるなぁ…。



『ほんっと、モテるよね。』

「突然なーに？」

『今までそれが当たり前の光景だったけど、改めて考えたらすごいなぁって。』

「俺、Aだけにモテたらいーよ。
それ以外いらない。」



またそんなこと言うー！
ほら、後ろの人たちも悶えているしー！



ぷにっ…



「照れてるの？
かわいいね。」



無一郎は私の頬をつつきながら覗き込んできた。
心臓が一瞬だけ跳ね、地面からも飛び上がりそうになった。
ほんとバカ！！



『…無一郎のパンケーキ、1枚もらうからね。』

「Aが喜んで食べてくれるなら、何枚でもあげるよー。」



そういうことじゃないんだよなぁ…！

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