一途にも程がある【時透無一郎】

15.勘がいい ページ16

丸一日寝た結果…AA復活！！



「元気になってよかった。」

『ありがとう。
ノートも本当にありがとう。』



カナヲからもらったノートをパラパラとめくると、結構な量…。
バイトから帰ったら、泣く泣く写すしかない…。



「昨日ね、時透くんにAは来ていないのかって聞かれたよ。
話しかけられてびっくりした。」

『あー…。
授業サボってお見舞いに来てくれたんだ。』




頬杖をついて、昨日のことを振り返る。
確かにおかゆは助かったけど、けど…！
握られた手。
「ぜーんぶが好き。」という言葉。
うわぁぁぁぁぁ！



「なーに？
俺の話？」



机の上に、トッ…と手が置かれた。
顔を横に向けると、無一郎と目が合った。
大学では私もほとんど話しかけないし、向こうからも全然話しかけてこない。
それなのに今日は話しかけてきた。



『昨日、お見舞いに来てくれた話してただけ。』

「そっか。
でも、元気になってよかった。」



人差し指の背で、頬をつっ…と撫でられた。
噛み付いてやろうかと睨んだけど、無一郎はしたり顔。
くそー！



「え…え…？」



カナヲはそんな私たちを見てプチパニック。
そりゃそうだ。
こんな私たちを、カナヲは見たことがない。



「え、昨日お見舞いに行ってから何かあった…？」

『違うからね…！？』



カナヲの勘の良さ？に、思わず立ち上がった。
私はこれだけも焦っているのに、無一郎は私を見て笑っている。



「カナヲちゃん、勘がいいよ。
あ、Aの食べているプリン、生協一カロリー高いやつだね。
太っちゃうよ？」



そう言い残して颯爽と、そう、颯爽と行ってしまった。
私は視線を落とし、机の上に置かれているプリンを見た。
確かに、生クリーム乗っているし、何より大きいし…。



「何があったの？」



カナヲの大きな瞳が、私のことをジッと見つめる。
無一郎のばかやろー！

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