一途にも程がある【時透無一郎】

26.語彙力低下 ページ27

「Aってほんと、バカみたいにうっかり屋さんだね。」



あの…無一郎さん？



「でも、そんなところも好きだよ。」



いつまで…



「もし、噂のことで何かされたら助けるから、絶対に俺に言ってね？」



抱きついてるんですか！！



我慢できなくなり、無一郎の体をドンッと押した。
彼の腕の力が弱まった隙をついて、なんとか解放された。



『もっ…ほんと…バカ…。』



無一郎の体温をすぐそばで感じていたから体が熱いのかと思った。
でも、離れても熱いままだったので、私の体が熱くなっているのが証明された。
そのせいか、語彙力も急激に低下した。
ああ、もう、最悪。



「赤くなってるー。
かわいー。
照れてるの？」

『いちいち言葉にしなくていいから…っ！』

「思ってること全部言っちゃうタイプだからね、俺。」



ふふんと笑って見せたが、そんな自慢げに言うことではないと思う…。
そんなことより、早く体の熱を下げたい。
抱きしめられた部分が熱い。



「…本当に言ってね？
心配だから。」



無一郎は私の手を取ろう……としたのをペイッと払った。
すぐに触ろうとするのはやめてくれ。



『うん、分かった。
でも大丈夫だと思うけどね。』

「だといいけど。
俺の周りの子たち、しつこいからね。」



まるで他人事のように言っておりますけども、原因は無一郎ですからね！？
自動的にため息が出てしまい、「幸せ逃げちゃうよー。」と言われてしまった。
誰のせいだよ、おい。

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