私の隣の王子様 その4【竈門炭治郎】

171.買い出し ページ35

バレンタイン前日。
私はスーパーに材料の買い出しに来ていた。
何を作るのかって？
甘すぎないチョコマフィンでございます。



「あ、A。」



ギクッとして振り向くと、フットサルウェア姿の炭治郎がいた。
片手には買い物カゴがあり、野菜などが入っていた。



『た、炭治郎。』
「偶然だなぁ。」



炭治郎の視線が自然と、私のカゴの中に移る。
チョコチップ、ココア、カップなど…。
どこからどう見てもバレンタインの材料だ。



「…それ、まさか、バレンタインか？」
『なっ…何で言うの！
当日まで内緒にしようと思ってたのに…！』



ぽかっと、炭治郎の二の腕を軽く叩いた。
すると、彼は辺りをキョロキョロと見回した。
そして、中腰になり、私の視線の高さに合わせた。



「嬉しすぎるから、キスしていいか？」



誰もいないのを確認していたのか…じゃなくて！
ここは公共の場ですよ！



『ば、場所を考えて！』



すると、炭治郎は不服そうに口を尖らせ、背筋を伸ばした。



「仕方ないなぁ…。
当日まで取っておくよ。」



炭治郎は不服そうに加えて、はぁっと呆れたようにため息をついた。
まるで、私が悪者扱いだ。



『…もうあげないからね。』
「え！？
いや、ごめん！
それはやめてくれ！！」



必死な炭治郎に思わず笑ってしまった。
ちゃんとあげるから安心してね。



あ…他の子からもらわないでって言うの忘れた…。

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