138.来ないよ ページ1
クリスマス。
ひとりぼっちの私の前に現れたのは天元だった。
「やっぱりAじゃねぇか!
竈門くんと待ち合わせか…って…何で泣いてんだ?」
『何もないよ。』
消え入りそうな声でそう言い、視線を再び落とした。
「いやいやいや。」と否定しながら、天元は私の涙を拭うために頬に触れた。
「冷たっ…!
お前、いつからここで待ってんだ?」
『…。』
こんな情けない姿を見られただけでも恥ずかしいのに、約1時間も待っていることを知られるなんて、もっと恥ずかしいしみっともない。
「なぁ、間違ってたら悪い。
…アイツ、来るのか?」
痛いところを突いてきた天元は、眉をひそめ、腰をかがめ、私に視線を合わせた。
その見透かしたような目で見ないで。
また涙が止まらなくなるから。
『来ないよ。
陽菜さんのお父さんが倒れたから、病院に行ってるんだって。
だから来ない。』
涙をボロボロ流しながら、プレゼントの入った紙袋の紐を握る。
「宇髄ー?」
「どうした?」
天元と一緒にいた友達が、心配そうにこちらをチラチラ見ている。
すると、彼は泣いている私を隠すように、私の前に立ってくれた。
「悪ィ。
俺、この子に用ができたから、2人で行ってきてよ。」
驚いて天元の背中を見上げた。
「分かった。
また今度なぁ。」
「了解ー。」
2人は天元に軽く手を振り、人混みの中に消えていった。
すると、彼はクルッと振り向き、私の手を取った。
「手まで冷てぇな。
どっか暖かいところ入ろうぜ。」
『えっ…でも…友達が…。』
天元の友達の後ろ姿がどんどん小さくなる。
すると、彼はふわっと優しく微笑んだ。
「今はAの方が大事だっつーの。
アイツらは分かってくれるから大丈夫だ。
ほら、行くぞ。」
872人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ともりん - ここでも言わせてください!!とーんーでもねー炭治郎だ!!!(((すいません (2020年8月7日 22時) (レス) id: 66f9aed7aa (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅の刃大好き - 続編もとってもおもしろかったです!あぁ、現実にいてほしいっっ!(笑)これからも頑張って下さい! (2020年7月3日 23時) (レス) id: 7db63c5bfe (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 続編読みました!面白かったです。これからもファイトです!! (2020年6月3日 20時) (レス) id: 1d8abed5fa (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 竈門夜蝶さん» 熱いキスやで(ぶっちゅうううう (2020年6月3日 20時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 如月 哀華さん» いええええええええいいいいいい!!! (2020年6月3日 20時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朔夜 | 作成日時:2020年5月29日 21時