私の隣の王子様 その4【竈門炭治郎】

163.扱い上手 ページ27

「Aー、怒ってるのか？」
『怒ってないよ。』
「じゃあ、何で先々行くんだ？」
『…脚長いから。』
「俺の方が長いぞー。」



朝からのことがあり、私はまた意地を張ってしまっていた。
だって、だって、あのまま流されそうになったんだもん！



「はい、捕まえた。」



いつの間にか私の隣に来た炭治郎が、私の手を握った。
見上げると、嬉しそうに微笑んでいる。
こうやってすぐに絆される。



『…炭治郎って、私の扱い上手だよね…。』
「そうか？」



そうですよ、炭治郎。



「炭治郎、Aちゃんおはよう！
…いいご身分だな！！」



朝から元気な我妻さんがやって来たかと思うと、炭治郎に噛み付いた。
我妻さんが指しているのは繋がれた手。



「何がだ？
普通のことをしているだけだぞ？」
「お前の普通と、俺の普通は違うの！
仲直りしたからって、調子に乗らないでくれぇぇぇ！」



この2人のやり取りは見ていて面白いが、巻き込まれると恥ずかしい。
ほら、周りの人が見ている。



『我妻さん、ほら行きましょ。』



興奮している我妻さんに声をかけると、怒っていた彼は二パッと笑った。
切り替えの早さ…。



「Aちゃんに言われたら仕方ないなぁ。
ふふふ、ほら、炭治郎行くぞ。」
「善逸…お前は単純だな…。」
「へへへへ…。」

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