私の隣の王子様 その4【竈門炭治郎】

150.かわいかった 〜炭治郎side〜 ページ14

やっとAに会えた。
それなのに…。



「炭治郎、生きてる？」
『…生きてる。』



机に額をつけて突っ伏している俺の真上から、善逸が話しかけてきた。



「どうせAちゃんだろー。
久しぶりに会ってどうだった？」



善逸と伊之助にはクリスマスのことはもちろん、それ以来会っていないことを伝えていた。
伊之助に「アホだろ。」と言われたのはきつかった…。



『…かわいかった。』
「いや、そうじゃなくて！
ちゃんと話せたかって聞いてんの！！」



久しぶりのAはかわいくてかわいくて仕方がなかった。
それと、あのお日様のような匂い。
どうにかなってしまいそうだった。
でも…。



「私は…話すこと何もないよ。」



話すことを拒否されてしまった。
ちゃんと謝りたい。
話したいんだ。



『話せてない。
話したいのに。』
「きゃっ…。
弱っている炭治郎もかわいいよぉ。」



善逸は茶化しながら、俺の上にガバッと覆い被さってきた。
真剣に話をされるよりも、こうやって茶化される方が気が楽だ。
善逸なりの気遣いだろう。



『ありがとな、善逸。』
「うへへ。
褒めても何も出ねぇぞぉ。」



明日、明日にもう一度話しかけてみよう。

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