私の隣の王子様 その4【竈門炭治郎】

148.小さいけど苦しい嘘 ページ12

「あけましておめでとうー！」
『あけましておめでとう、蜜璃。』



短い冬休みが終わり、今日から授業の開始だ。
私は昨日の夜まで実家に入り浸っていたので、久しぶりに帰ってきた。



「そうだ！
スマホの調子悪いの？
電話しても繋がらない時があって…。」
『ああ、うん。
何だか調子悪くてね…。』



炭治郎と元カノのことで微妙な空気になっているなんて言えず、笑って誤魔化した。



「ねぇ、竈門さんにプレゼント渡したんでしょ？
どうだった？」



蜜璃に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
一緒に選んでもらったのに渡せず、未だに私の部屋の隅に、紙袋のままで置かれている。
パウンドケーキは、クリスマスの日にゴミ箱に捨てた。
もったいなくて食べようかと一瞬は思ったが、食べれなかった。



『うん、喜んでくれたよ。』
「よかったわぁ。
あのマフラー、本当にかわいかったもん！」



蜜璃を傷つけないための嘘。
自分を取り繕うための嘘。
もう、こんな小さいけど苦しい嘘はつきたくない。



「じゃあ私はこっちだから、またお昼にね。」
『うん、また後で。』



蜜璃と別れ、教室に向かっている途中だった。
後ろから誰かに腕を掴まれたので振り向くと、真剣な表情の炭治郎がいた。

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