入学式 ページ2
side彩南
「え！？入学式、母さんが来てくれるの！？」
「え、ええ。だめだった？」
「ううん！veryveryOK！」
あたしの家は、母さんと父さんで別れてる。離婚とかじゃ無くて、母さんは東京での仕事、父さんは宮城での仕事みたいになっているから。兄ちゃんは母さんに付いていった。というか、東京に行きたい高校が在ったかららしい。あたしは地元の友達と別れたく無かったし、行きたい高校が宮城に在ったから残った。だから、母さんや兄ちゃんには滅多に会えない。よって、高校の入学式は父さんが来るものだとばかり思っていた。兄ちゃんにも会いたいな、とか思うけど大好きなバレーをやってる兄ちゃんは格好いいし、邪魔出来ない。話は変わるが、あたしは自他共に認めるバカ。勉強が出来ないし、授業中は眠くて仕方無い。バスケの推薦でサクッと行こうと思っていた。うん、あの頃はまだ推薦でも勉強しなきゃいけない事を知らなかったんだよ。そんなときに、兄ちゃんは助けてくれる。電話で勉強教えてくれた。受かった時は物凄く驚いてたし、喜んでた。
・・・・・それは、昨日の話。真新しい制服に袖を通すと、大人になった気分になる。
「彩南！早く！」
「はぁい」
「返事は短く！」
「分かった」
兄ちゃんは母さん似だ。性格とか、脳ミソとか。あたしは父さん似。大雑把だし、勉強出来ないし。久しぶりに見た母さんの車に乗り込み、青葉城西高校へと向かう。
入学式は疲れる。あたしは、【赤葦】だから基本一番前だし。校長の話は長いし。だから終わったときはカイホーカンに満ちていた。あ、ちなみにクラスは１年６組！高校ってＡ組とか、Ｂ組とかだと思ってたのにな。あ、隣の子はね、男子なんだけど髪がサラサラ。凄い羨ましい！ずっとうつ伏せになってる。寝てるのかな？
「・・・・何？」
ジーっと見つめてたら、顔を上げて話しかけてくれた。
「あたし、赤葦彩南！よろしくね！所で、お名前は何ですか？」
「国見英」
「英君ですか！いい名前ですね！」
「・・・タメでいい」
「じゃあ、部活何処入るか決めてる？？」
「バレー部」
「バレー！？兄ちゃんと一緒だ！」
兄ちゃんの事、知ってるかな。いや、東京だし知らないかも。あれ？でも、兄ちゃんの高校強いって言ってたっけ。・・・・・まあいいや！
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作者名：弥生 | 作成日時：2018年6月21日 16時
