冬なのに暑い日 ページ6
Aはいつも通り俺に接す。
けどそれにまたちょっと寂しい気持ちにさせられる。
意識してる男を部屋に入れるわけねぇもんな。
「ほら、ココア。なんか悩んでるんなら聞くよ」
そう言ってクッションに座る俺の前にココアを置いた。
甘い匂いが鼻に絡んだ。気分じゃない。
「良いよ。まだ治ってねぇんだろ。てか悩んでねぇし」
出されたココアに手を伸ばす事無く、自分のココアを啜るAを見た。
「悩んでなかったら何？思春期？反抗期？」
「そんな事より最近寒いよなぁ。そりゃ昨日あんなとこでぼーっとしてたら風邪引…」
「悠仁」
話逸そうとしたらマジなトーンでそう言われて無理に動かした口を止めた。
「今更隠し事なんか私ららしくないでしょ。」
Aが溜息混じりにそう言ってココアをおく。
コトンって机とカップの底が重なる音がして空気が少しピリついた気がした。
俺達らしさって、なんだよ。
昨日あんな事言いそうになったけど正直、Aの事俺は前までこんなに想ってなかった。ってより、気づかない振りしてた。
今の感じが一番なんかなって。
でも、好きな人が出来たって聞いて心臓がすげぇ痛んで、宿儺に握られたんかと思ったぐらい苦しくなった。
…思い返したら思い当たるとこは山ほどある。
俺が宿儺に心臓取られて死んだ時も、Aが一番泣いて悲しんでくれてたって伏黒から聞いた時すっげぇ嬉しくて、生き返って久しぶりに会った時も泣きながらハグされてめちゃくちゃドキドキした。
俺が指飲んだ時心配してくれた事も、
ガキの頃ヘマして先生に怒られた時励ましてくれた事も、
中学ん時初めて一緒の傘に入った事も、
お揃いで指輪付けた事も、俺全部自分の気持ち無視してたんだよな。
皆にはあー言ったけど、今までの10年とかそこらの時間、ずっと好きだったって昨日初めて気づいた。
そう言えば当たり前だったものはある日突然当たり前じゃなくなるから大事にしろって爺ちゃん言ってたな。
呪いじゃん。
「悠仁？」
俺の様子に気づいて顔を軽く覗き込んでくるA。
…真っ向から気持ち伝えたら、こいつ多分笑うんだろな。
なら、今の俺に言える最大限の言葉で伝える。
「お前のそう言うとこ好き、俺。
いつもありがとな。治ったら聞いてくれよ」
「…え？」
「じゃあな。ゆっくり休めよ」
「ちょ、待っ」
俺は逃げるみたいに差し入れのプリンを置いてAの部屋を出た。
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ナナナ(プロフ) - 朧さん» お声がけありがとうございます！(;_;)そう言って頂けて本当にありがたいです！頑張ります！ (2021年3月6日 18時) (
レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
朧 - 神作品を作ってくれてありがとうございます!!投稿頑張ってくださいね(´∀`) (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ(プロフ) - 語彙が足りないひとさん» 軽率に嬉しいですｯ！コメントありがとうございます！励みになります！ (2020年12月30日 23時) (レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
語彙が足りないひと - 好きですｯｯｯｯ！！！！！( (2020年12月30日 15時) (レス) id: b91dddfe62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナナ | 作成日時：2020年12月28日 18時
