それでも ページ27
「…落ちついた?A」
悠仁に掛けられた言葉。優しい、落ち着く声。
どれだけ泣いたかは分からない。ただ、私の目から溢れ出る涙はいつしか止まっていて目元に当たる悠仁の学ランは、涙が乾いて冷くなっていた。
「…うん」
私は、腕の中に居ながら悠仁を見れなくてただ頷いた。全部打ち明けたのに、まだ悠仁はこんなに暖かい。そんな優しさに自分が嫌になる。
___呪術師は、ヒーローじゃない。
ふと頭によぎる言葉。伏黒が言ってた事だ。結果的に人を救うだけであって、俺達の役目は呪霊を祓う事だって。
私もそう思う。
人の為を想って呪うなんてそんな矛盾、無いと思ってたから。
だから、呪術師が優しい人である必要はない。
裏付けと言ったらあれだけど、思い出したら呪術師なんか残酷な人の方が多いぐらいなのに。
なのに、悠仁は…
…ねぇ、悠仁。
「俺、正直さ。」
冷たい空気の中、悠仁の声に遮られた私の言葉はすぅっ、と喉の奥に吸い込まれていった。
"正直"
そう言った悠仁の言葉が私の鼓膜をつん裂いて、頭を一瞬ぐわんと揺らした。大袈裟な表現かもしれないけど、その言葉はそのくらいの強い衝撃を私に与えた。
どんな事を言われても、嫌われても仕方ない。
そんなの、覚悟してた。
でも、いざとなると体が強張って。
私は身構えるように、きゅっと目を瞑って、真っ暗な視界の中悠仁からかけられる言葉を待った。不安と恐怖にかられて、初めて呪霊を見た時よりも頭が危険信号を出していて、心の底から耳を塞ぎたくなる。
でも、それでもまだ、
悠仁からかけられる言葉の温度は暖かかった。
「正直、すっげぇショックだった。」
「でも、お前が全部言えて、
楽になったんならそれでいーわ。」
そう言って、悠仁は、ただ笑った。
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ナナナ(プロフ) - 朧さん» お声がけありがとうございます!(;_;)そう言って頂けて本当にありがたいです!頑張ります! (2021年3月6日 18時) (レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
朧 - 神作品を作ってくれてありがとうございます!!投稿頑張ってくださいね(´∀`) (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ(プロフ) - 語彙が足りないひとさん» 軽率に嬉しいですッ!コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月30日 23時) (レス) id: 6431d8432b (このIDを非表示/違反報告)
語彙が足りないひと - 好きですッッッッ!!!!!( (2020年12月30日 15時) (レス) id: b91dddfe62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナナ | 作成日時:2020年12月28日 18時