花束で殴る。 ページ1
・
ボンッ
という頭への衝撃と共に、視界に散らばる花びら。
「…ちょっと…。」
振り返ると、懐かしい顔。
「………」
「女は殴っちゃいけないんだよ、例え花束でも。知ってた？」
「……知らん。」
「私………………結婚するんだよ？」
「……知らん。」
「ずっと、待ってたんだよ？」
「……」
「遅いよ、ダイキ。」
「……」
君がいつまでも帰ってこないから。
私は待つのをやめたのに。
今さら帰ってこないでよ。
「ごめん…」
謝らないで、そんな泣きそうな顔で。
昔みたいに憎まれ口叩いてよ。
『お前なんかが嫁に行けるわけないやろ！』
って、笑ってよ。
「……綺麗になったな。」
弱々しく笑う顔も、見たくなかった。
「そんなこと…聞きたいんじゃないよ…。」
もういないのだ。
あの頃の私たちは。
しょうもないことで言い合って、しょうもないことでいつまでも笑い合った私たちは。
ずいぶんと花びらが溢れてしまった花束を拾い上げる。
「かすみ草、好きだって覚えててくれたんだね。」
「………。」
「ずっと、好きだったよ。」
…かすみ草がね。
「…俺も。」
かすみ草がでしょ。
私たちは少しだけ笑いあった。
「ありがとう。家に飾るね。」
「誰に貰ったって説明すんねん。」
「ダイキに貰ったって言ったらカミちゃんも喜ぶよ。」
「………嘘やろ？」
「あ、私も”カミちゃん”になるんだった。」
その時のダイキの顔は見れなかった。
「あ〜あ、花束はもって帰れても、こんな顔じゃ帰れないな。」
気がついたらボロボロと涙が溢れて止まらない。
「……今日は帰らんかったらええんちゃう？」
「そんなこと出来るやつじゃないって知ってるよ。」
友達も大事なくせに。
「結婚式、絶対来てよね。」
帰り道、花束を川に流した。
今日のことは、この花束と共に。
さようなら。
私のずっと好きだった、かすみ草。
と、ずっと……好きだった人。
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一波(プロフ) - 残してくれていると、ふと読みたくなったときに立ち寄れるので嬉しいです。やさしい気持ちと元気チャージ出来ました！いつも素敵なお話ありがとうございます(^^) (2020年8月31日 18時) (
レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 久々に読みに来ました(^^)実は紫陽花と背中も熱いも読んだのでﾒﾒさんのはしごして３つ目です笑相変わらずお話の空気感好きだなぁ〜って思いました(^^)特にお巡りさんの照史君のと風紀委員のはまちゃんの好きです。いい時間を過ごせました。更新してなくてもお話 (2020年8月31日 18時) (レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - いえいえです!私もいつも楽しませてもらってます^_^お返事は時間ある時で大丈夫ですよ。お互い日常生活がありますし^_^こちらこそよろしくお願いします^_^ (2018年2月3日 16時) (レス) id: 67846066e5 (このIDを非表示/違反報告)
メメ(プロフ) - 一波さん» 一波さんいつもコメントありがとうございます（ ; ; ）ボードの方も返せてなくてすいません（ ; ; ）コメントとっても励みになってます！！！！長編もちまちま更新出来るよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！！！！ (2018年2月3日 5時) (レス) id: db9b5e37ea (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - はまちゃんのひとりじめサイコーでした^_^メメさんのお話は全部好きです笑お話に流れる空気感とか雰囲気とか心地いいんです。長編スランプなんですね。無理せずメメさんのペースでお話紡いで下さい^_^楽しみにしております。 (2018年2月1日 14時) (レス) id: 67846066e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メメ | 作成日時：2018年1月22日 1時
