【wrwrd】泡沫のプリマドンナ【sha】 (ページ6)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:2,277 hit

6 ページ6

.

「何してるのシャオロン！？」

その日、シャオロンはいつもより来るのが遅かった。

朝ごはんを取ってくるって言って、しばらく帰ってこなかった。

太陽が上がって、頭上を通り過ぎて、少し下がった頃ようやくシャオロンは帰ってきた。

「いや～しくじってな、怪我してしまったわ」

「してしまったわ、じゃないでしょ！？」

やっと帰ってきたシャオロンは、左手に大きな傷跡を創っていた。

見ているだけで痛々しい

「でもその代わり、ほら！」

そう言って、シャオロンは1枚の紙を取り出す。

「これ、人魚語やろ？何かおもろいこと書いてあるんかと思って！」

「……確かに人魚語だね」

「やろ！？」

と、満足そうな顔をするシャオロン。

解読して、とキラキラとした眼差しで見られ溜息をひとつ吐いてから読み上げる。

「……我らの祝詞、我らを護るものなり。害するものを害し、慈悲深い者に慈悲を与える。同族よ、今こそこの力を用いて立ち上がり憎き人間を討ち滅ぼす時……」

「……よぉわからんけど、とんでもないものってことは分かったわ」

「お宝関係じゃなさそうだね」

少し残念そうにしているシャオロンにそう言って紙を返す。

「それよりもその怪我、早く治療しなきゃ」

「一応包帯は持っとるんやけど片手やとなぁ…」

「私がやるから、貸して」

「え、ええの？だって人間に触れたら…」

「直接触らなければ大丈夫でしょ？」

シャオロンから包帯を受け取り、肌に触れないよう慎重に巻いていく。

するりと肌に包帯を滑らせ、先端を結んでそれなりに上手くできた。

「ほー、上手いもんやな」

「でしょ？まぁでも、しばらくは『かいぞく』お休みだね」

「えぇー…」

残念そうにしているシャオロンに笑いかけ、ぱしゃんと海の中に入る。

「私、ちょっと泳いでくるから。今日は早く帰りなよ」

「分かった、また明日な」

「うん、また明日」