【wrwrd】泡沫のプリマドンナ【sha】 (ページ4)

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「そういえば、名前聞いてなかったな。俺はシャオロン、お前は？」

「私はA」

「Aかぁ……きれーな響きしとんなぁ」

「うふふ、そうでしょ」

「おん！……あ、そういえば。さっきの歌声すごい綺麗やったで。人魚って歌上手いん？」

『さんどいっち』も食べ終え、お腹がいっぱいになった頃

ふと、シャオロンが思い出したかのようにそう聞いてきた。

「わかんない。でもお姉様もお母様も、みんな歌は上手だよ」

「へぇ～！また聞かせてほしいもんやなぁ」

「気が向いたらね！」

そう言えば、シャオロンは「ケチ！」と言って笑う。
つられて私もクスクスと笑った。

なんだ、良い人じゃん。人間。
やっぱり悪いやつっていうのは嘘だったんだ。

「……というか、Aはどこから来たん？家族の所帰らんでええの？」

「……あ」

地上に夢中ですっかりと忘れてしまっていた。

私は海流に攫われてここに来た。
しかも、道中の記憶はない。

……つまり、帰れない

「えっと、海流に攫われて気づいたらここに居て……家に、帰れないの」

「えっ！？それは大変やん、どーするん！？」

「どうしよう……」

どのぐらい遠くに連れてこられたのかも分からないし、帰る術もない。

どうしよう、と不安で俯いていると、思いついたかのようにシャオロンが喋りだした。

「……よし！Aも今日から海賊や！」

「……え？」

「ええか、俺はお前の家探しを手伝う！その代わり、Aも俺の宝探しを手伝うんや！」

頭ええやろ！とでも言うように、目をキラキラと輝かせるシャオロン。

「……家探しって、私の家は深海にあるのにどうやってシャオロンが探すの？」

「地図を書いたり本で調べたり、色々地上でもできることあるで！」

「手伝って、くれるの？」

「Aが宝探し手伝ってくれるんならな！」

どうや！といって微笑むシャオロン。

……そんな提案、私には断る理由なんて無かった。

「分かった！私も『かいぞく』になる！」

「よし！じゃあ今日から俺の仲間やな！」

今日、この日。
私は人間の友達ができた。