【wrwrd】泡沫のプリマドンナ【sha】 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:2,276 hit

3 ページ3

.

「にん、ぎょ……？」

不意に、背後からそんな声が聞こえる。

慌てて振り返ると、そこには1人の人間が驚愕の表情を浮かべ立っていた。

途端に私の頭が警鐘を鳴らす。
お姉様が言っていたことを思い出したのだ__"人間に見つかったら殺される"、と。

瞬間的に殺される、と思った私は急いで海の中へ戻ろうとした。

その時、人間から声をかけられる。

「……！ま、待って！」

チラ、と人間の様子を伺うと、何をしたいのか両手を挙げて私の方を見ていた。

「ほら、武器とか持ってへん！びっくりさしてごめん！」

「………」

「俺、シャオロンって言うねん！君は？」

「………」

「まぁとりあえずこっち来ぃや！夕飯持ってきたし、一緒に食べへん？」

いらない、そう思いながら海に逃げようとした時

ぐぅぅうう、と盛大に私のお腹が鳴った。

シャオロンと言った人間は、一瞬の後ふっと吹き出して満面の笑みを私に向けたのだった。

.

.

「へぇー、人魚って本当にいたんや」

「うんうん、逆に私からしたら人間ってほんとにいたんだって話だけど」

「そりゃおるやろ！いっぱい」

「いっぱい？そんなにいるの？」

「数えられないほどおるで！この前寄った町だと、1万人ぐらいおったんちゃうかなぁ？」

「1万！？考えられない……」

あれから、私とシャオロンは見事に意気投合した。

シャオロンのくれた『さんどいっち』というものはとても美味しくて、今まで食べたことの無い食感をしていた。

それから色々と話しているうちに話が止まらなくなり………まぁ今のようになった訳だ。

シャオロンは『かいぞく』という人間らしく、海のお宝を探して旅をしているらしい。

私は『かいぞく』というものが何かはよく分からないが、何故かシャオロンがとてもかっこいいと思った。