【wrwrd】泡沫のプリマドンナ【sha】 (ページ2)

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「こんなもんかな…？」

よいしょ、と獲れた魚を手に抱える。
この時期は白身の油がのった魚が沢山獲れる。

このぐらいあればしばらく狩りにはでなくて良さそうだな……なんて考えながら、来た道を戻ろうとした。

……その時。

「……！？」

何か強いものに押される感覚がし、体の自由がきかなくなる。

すぐに理解した。
__海流に、押し流される。

いつもは泳ぎは得意なはずなのに、身体中が圧迫されて体が動かない。

助けを求めて手を伸ばすのもつかの間、私は耐えられずに意識を手放した。

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ｻﾞｻﾞﾝ……と、波の打つ音がする。

「い、ったぁい………」

身体中に痛みを覚えながら、なんとか体を起こした。

そして、目に飛び込んできた景色に驚愕することになる。

「……なに、ここ………？」

目の前には、見慣れた海がある。

だがここは海の中じゃない。
私は水に浸かっていないし、海の中にはこんなに乾いた砂はない。

そして頭上には、ずっと憧れ続けてきた"空"が広がっていた。

「地上、なの…？」

思わずそうポツリと呟く。

そうだ、ここは海の中じゃない……外の世界。

あの海流に攫われ意識を失っている間に、いつの間にか海岸に打ち上げられていたのだ。

幸いにも周囲に人の姿はなく、波音だけが静かに響いている。

「やった……やっと、やっと地上に来たんだ！」

ぱしゃんと音を立て、海から突き出していた岩に飛び乗る。

風というものを全身に浴びながら、すぅっと口を開いた。

「__…～～～♪♪」

波のリズムに合わせ、昔よく歌っていた歌を口ずさむ。

地上が、こんなにも綺麗で心地よい場所だっただなんて……

そんな気分が最高潮に達していた私は、背後からこちらを見る影に気づいていなかった。