【wrwrd】泡沫のプリマドンナ【sha】 (ページ1)

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地上の遥か深く、深海。

そこには、幻と呼ばれる"人魚"の住処があった。

「ねぇお姉様、私人間に会ってみたいの」

「馬鹿を言わないでA。人間は皆凶暴で、私達を捕まえて酷い事をしようとしているの」

「そんなの、会ってみないと分からないでしょ？」

「いいえ、会わなくても分かるわ。……かつて沢山いた仲間はみんな人間に殺されて、今では私達家族4人だけだもの」

私はA、地上を夢に魅る人魚。

私達人魚は、深海の暗闇に身を隠すようにしてひっそりと暮らしていた。

元はもっと沢山いたという人魚達。
詳しくは知らないが、お母様達から聞くに人間達の侵略にあってほとんどの仲間は殺されてしまったという。

そのせいなのか、私の家族は皆人間を酷く憎んでいた。

「その話は聞き飽きたの。良い人間だっているかもしれないじゃない、私は自分の目で地上に出て人間を見てみたい！」

「駄目よ、絶対駄目。そんなの私達が許さないわ」

「お姉様のわからず屋！」

「わからず屋で結構よ」

今日も分かってくれないお姉様に踵を返し、尾ひれを振るい泳ぎ出す。

私は泳ぎが得意なの。
お母様だって私の泳ぎに着いて来れないし、万が一人間に襲われたって逃げ切ってみせる。

そんな事を考えながら、今日の分のご飯の調達へと向かった。