第一輪＊始まり ページ2
冷たい風が頬を撫でる。
つい最近まで青く葉を生い茂らせた桜の木も今ではすっかり葉を落とし寂しい景色になってしまった。
とくにやる事もないままあたりを見渡していると1匹の三毛猫がベンチで休憩中のようだ。
私はその猫の隣に座ると一息白い息を吐き出した。
私がこの様に特にすることもなく公園で暇な老人の様に散歩などして居るのには理由がある。
先程 大学に退学届けを出して来た所なのだ。
苦労をし勉強をして入った大学も結局やりたい事が見つからず長続きさせることが出来なかった。
自分で言うのもなんだが私は勉強ができる方だ。
そんな中 先生の反対 友人の同情を押し切りながら大学を辞め、一人暮らしのワンルームに居るのも心細く今に至る。
幸福な事に両親は私が大学を辞めることには反対をせず “好きなことをすればいいよ” と言ってくれた。
｢なにしようかなぁ…｣
そう軽く呟くといつからか先程まで首を後ろ足でかいていた猫もくつろぎ飽きたのかベンチから飛び降りテトテトと何処かに歩き始めた。
この日はなんとなく家には帰りたく無かった。家に帰っても一人虚しいだけだ。そんな私はただの気まぐれでこの猫を追いかけてみることにした。
今思うとこの三毛猫が私の運命を変える幸運の招き猫だったのかもしれない。
細い路地裏 普段じゃ絶対に通らないような入り組んだ道を猫について歩いて行くと小さなお店の前に出た。
お店には古びた看板で“VOiCE”と書かれており入口には「open」の文字。窓際に赤い目の綺麗な兎の置物が置かれていた。
そう言えば気づけば猫も居なくなっていた。
「ちょっと小腹が空いたかも…」
ポケットからケータイを取り出し起動するとデフォルメされた可愛らしいペンギンと画像の上に13:26と白い文字が浮かび上がる。
気いていなかったがもうお昼も回っていたのか…この辺に目に付くお店も無かったので私はこの喫茶店に立ち寄ることにした。
。゜⋆。✿。゜⋆。*❀٭。゜⋆。
続く
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いかげそちょこ(プロフ) - スイさん» こんにちは、はじめまして！コメントありがとうございます…！そう言っていただけて嬉しいです…！更新頑張りますので最後までお付き合い頂けるとうれしいです…！ (2017年6月1日 20時) (
レス) id: fe55f125d6 (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 題名素敵だな〜と思って読んでみたら、内容まで素敵でビックリしちゃいました笑 続き凄く楽しみです！なんだか上からっぽくなった気がして申し訳ないのですが…。頑張って下さい！ (2017年6月1日 18時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
いかげそちょこ(プロフ) - あーらさん» こんにちは、初めまして！コメントありがとうございます…！褒めていただけてとても嬉しいです…！ありがとうございます！これからも応援してくださると嬉しいです(*´∀｀*) (2017年5月28日 17時) (レス) id: fe55f125d6 (このIDを非表示/違反報告)
あーら(プロフ) - こんにちは！言葉遣いとかにすご惹かれました！凄いですね！これからも更新楽しみに待ってます！無理のない程度に頑張ってください！ (2017年5月28日 8時) (レス) id: 3d94a8f31b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いかげそちょこ | 作成日時：2017年5月28日 0時
