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3話 ページ4

「「A」」


まだ薄明の頃、朝食の準備をしていると、
名前を呼ばれた。


「お母さん、禰豆子。どうしたの?」
「A、朝食を食べたら町に行くの?」
禰豆子は寂しそうな表情。
「ごめんねA。うちは裕福じゃないから、
Aは病院で働かなきゃいけない」
お母さんは申し訳さそうに謝る。


「町の人たちも同僚の人たちも優しいし、
働くのは楽しいよ。だから謝らないで、お母さん」


正直に言うと、本当は寂しい。
家族に会える時間が限られてしまうから。
でも、仕事が楽しいのも事実。
町の人たちや同僚の人たちが優しいのも幸せな事。
きっと、私は恵まれてる。














「行ってきます」
「「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」」


朝食を食べたら、すぐに山を下りる。
でないと、仕事に間に合わない。


暫く雪道を歩いていると、霞の向こうに町が見えた。
あと、一時間ぐらいで町に着く。


それから40分ぐらい後のこと。
「大丈夫ですか?!」
雪道で人が倒れていたのだ。
蝶の髪飾りをつけた髪の毛を夜会巻にしている女性。
蝶の羽みたいな綺麗な羽織を身につけている。
そして、この人の体は傷だらけで羽織なども
血で汚れている。
それだけでも十分驚くけれど、さらに驚いたのは、


「か、刀?」


この人は刀を腰に下げているのだ。
えっ。銃刀法違反……。
何者?……でも、怪我人である事には変わりない。
町に運ぼう。
止血はしてあるみたいだし、呼吸も安定している。


女性は私よりも少し背が高いけれど、
背負えないほどではない。
刀があるせいで少し歩きづらいだけ。








「おはようございます。河野さん、怪我人です。
ここへ来る途中で、見つけました」
「怪我人?……その人、刀を持ってるわ…」
最初は優しい口調だった河野さんは、
この人が刀を持ってると気づいた途端、
強張った表情になる。


「でも怪我人です。
失血のせいで今は、気絶してます」
「刀を持ってるのよ?
起きた途端、何をするか分からない」
私よりも経験の豊富な河野さんは厳しい表情だ。


「怪我人や病人の手当てをするのが私たちの仕事です。
彼女も私たちにとって、患者さんです」
必死に言葉を紡ぐ。治療をさせてくれと。


「ダメよ。Aちゃんは優しいから
治療したいと思うだろうけど、危険よ」
河野さんは眉を顰めたままそう言う。


どうしよう。
どうしたら納得してくれる?

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愛っち(プロフ) - さなえさん» ありがとうございます‼️とても嬉しいです〜✨✨これからも更新頑張ってください😆 (2023年3月10日 20時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - 双子妹のイラストを描きました✨是非みてください‼️掲載したい時は、(やり方)画像マークを押す→みんなの素材をクリック→新着の順番にクリックすると、画像が出て来ます。イラストは題名付きで載ってますので、どうぞ見てくださいね😉 (2023年3月6日 22時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - 読んでみて、とてもいい作品ですね。お気に入り登録しましたので、これからも更新頑張ってくださいね✨応援してます〜‼️ (2023年3月6日 19時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さなえ | 作成日時:2023年2月11日 22時

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